Miho Uranaka Yuka Obayashi
[東京 17日 ロイター] - 東京電力と中部電力が折半出資し新規株式公開を計画する国内最大の発電会社JERA(東京都中央区)が、米国を上場先として検討していることが分かった。事情を知る関係者3人が明らかにした。事業を拡大する海外で投資家との接点を広げ、資金調達基盤を強化できるメリットがある。
関係者2人によると、JERAは最近、米国市場の市場環境、投資家需要、法規制などについて調査を開始した。これまで東証上場を基本線としてきたが、米国上場も含めて選択肢として本格的な調査に乗り出した。
ただし、調査はあくまで初期的な段階であり、上場時期や市場、具体的なスキームなどは決まっていない。
関係者のうち1人によると、未上場企業だが海外機関投資家からのエンゲージメント(対話)などに対するニーズが高まっているとし、海外投資家向けのマーケティング活動も強化したい考えだという。
JERAは、以前から上場を目指す意向を示してきた。関係者の1人によると、上場時期は親会社である東京電力HDと中部電力の判断に左右される見通しだ。
JERAはコメントを差し控えるとした。東京電力HD、中部電力から、現時点でコメントは返ってきていない。
<海外展開加速>
日本のエネルギー供給を支える中核企業であるJERAは、開発中案件を含めて5900万キロワットの国内発電容量を持ち、日本の電力供給の約3割を担う。年間売上高は約3兆円、総資産は約10兆円。同社は2024年度から2035年度までに5兆円を投資する計画で、2035年度の純利益目標を3500億円と設定している。2025年度の純利益は1836億円だった。
日本最大のLNG取扱事業者の一つであるJERAは、年間3500万─4000万トンのLNGを取り扱う。国内の安定供給を担う一方で、上流投資や燃料調達、トレーディングを通じて世界的なLNGサプライチェーンを拡大しており、近年は米国への投資にも注力している。
上場が実現すれば、大規模な電源投資や海外事業拡大に向けた資金調達力の強化に加え、グローバル投資家への認知度向上や株式を活用したM&A(合併・買収)など経営戦略の選択肢拡大につながる可能性がある。
<日本企業で広がる米国市場活用>
日系企業が事業のグローバル化を進める中、海外投資家の裾野を広げるため米国市場への上場を志向する動きも広がっている。ソフトバンクグループ傘下のPayPayは今年、米ナスダック市場に上場した。半導体大手キオクシアホールディングスも、米国証券取引所へのADS(米国預託株式)上場の準備を進めると公表した。
ロイターは昨年、 楽天グループ傘下の楽天カードが米国上場を選択肢の一つとして検討していると報じている。世界最大の資本市場である米国を活用することで、企業は株主基盤の多様化や資金調達力の強化を図りたい考えだ。