Milana Vinn Manya Saini
[16日 ロイター] - 米決済大手ペイパル・ホールディングスの取締役会は、同業ストライプと投資会社アドベント・インターナショナルのコンソーシアム(企業連合)による530億ドルの買収提案について、企業価値を過小評価しており、規制面や資金調達面でもハードルがあるとみている。事情に詳しい関係者が明らかにした。
別の関係者2人によると、ペイパルは提案に正式には回答していない。
ペイパルは近年、アップルペイやグーグルペイなどライバルとの競争で苦戦しており、経営陣は成長鈍化を受けて低迷する株価のてこ入れを図っている。ペイパルとストライプが統合すれば、年間約3兆7000億ドルの決済を処理する世界最大級のオンライン決済会社が誕生することになる。
関係者によると、ペイパル取締役会は経営陣の再建戦略に照らし、この買収提案と、他の提案が出てくる可能性を評価している。取締役会は初期の見解として、1株60.50ドルの提案は直近の株価にプレミアムを乗せた水準ではあるものの、同社が戦略を成功裏に実行した場合に今後数年で生み出し得る潜在的な価値を十分に反映していないとみている。
取締役会は資金調達の確実性、想定される規制上の障害、取引完了までに要する期間の長さなど、価格以外の要素も検討しているという。
一方、コンソーシアム側はこうした問題の一部に対処しようとしている。買収提案に詳しい別の関係者2人によると、JPモルガンとモルガン・スタンレーは買い手側に約500億ドルの融資パッケージを提供した。両行はコンソーシアムのアドバイザーも務めているという。
関係者の1人によると、ストライプとアドベントは今回の提案のうち170億ドルを自己資金で賄う。
ペイパル、アドベント、JPモルガン、モルガン・スタンレー、ストライプはいずれもコメントを控えた。
ロイターは今週、ストライプとアドベントの提案では両社がペイパルを分割するのではなく、均等な出資比率で共同保有する方向だと報じた。
ただ、関係者の1人によると、両社は反トラスト法(独占禁止法)規制当局の懸念に直面した場合の是正策についても検討している。具体的には、ペイパル傘下のブレインツリー事業などの資産を分離し、アドベントに移管することなどが考えられるという。アドベントはその資産を投資先である決済関連企業ヌベイなどと統合できる。
現在の提案に対するペイパル側の懸念にもかかわらず、関係者によると、コンソーシアムは同社にとって最も真剣な買い手として浮上しており、合意に引き続き関心を持っている。迅速な進展を目指しているが、交渉には時間がかかりそうだという。