Puyaan Singh Kunal Das

[16日 ロイター] - 米製薬大手イーライリリーは16日、うつ病など精神疾患向けのサイケデリック薬(精神展開剤)を開発する米バイオ医薬品企業のアタイベックリーを最大38億ドルで買収すると発表した。前払い金が28億ドルで、マイルストーンの達成に応じて最大10億ドルを支払う。両社は今年第3・四半期の手続き完了を見込む。

トランプ米大統領は今年4月、サイケデリック薬を使った治療の研究を促進するように命じる大統領令に署名。審査の迅速化を指示するとともに、この分野の研究に対する連邦政府資金の補助金を増額した。サイケデリック薬への関心が高まる中で、イーライリリーは肥満症治療薬で得ている巨額の利益を活用して製品群の多角化を図る戦略だ。

アタイベックリーの主力候補薬には、標準的な治療では改善が見られない重度のうつ病である治療抵抗性うつ病患者向けに経鼻投与する「BPL―003」がある。現在は後期臨床試験を進めている。

ジェフリーズのアンドルー・ツァイ氏は、BPL―003が後期臨床試験に成功すれば10億―20億ドルを超える売り上げを生み出す可能性があると試算している。アタイベックリーは2029年早期に試験の初期結果が得られると見込んでいる。

イーライリリーはアタイベックリー株を1株当たり6.75ドルで現金によって買い取る。これは15日の終値に約26%上乗せした価格だ。アタイベックリーの株価は16日午前の取引で30%超上昇した。

バークレイズのアナリスト、エミリー・フィールド氏は「今回の買収は、イーライリリーが拡大を続ける神経科学分野のポートフォリオと合致しており、うつ病のような大規模市場で上昇余地をもたらす」と指摘する。

RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、チュン・フイン氏は、サイケデリック薬の年間売上高が34年までに120億ドルに達し、現在約80億ドル規模の抗うつ薬に匹敵する規模になるとの見解を示した。

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