Ann Saphir

[16日 ロイター] - 米ダラス地区連銀のローガン総裁は16日、米国のインフレ率は連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%に戻る軌道に乗っているようには見えないとし、「やや高めの金利水準」の方がFRBが担う物価安定と最大雇用という二重の責務のバランスをより適切に取れるとの考えを示した。

ローガン総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っており、28─29日のFOMCで金利据え置きに反対票を投じる可能性があることが示された。

ローガン氏は講演で「インフレ率は長期にわたり高過ぎる水準にあり、2%目標へ完全に戻る軌道に乗っているようには見えない」とし、「やや高めの金利水準の方が、FRBが担う物価安定と最大雇用という責務の見通しとリスクのバランスをより適切に取れると考えている」と言及。「雇用、消費、金融などのデータに基づくと、現行の金融政策は引き締め的でないことが示されている」とし、「物価上昇が定着すれば、インフレ率を目標水準に戻すためにより急激な利上げが必要になり、労働市場に対するコストも大きくなる。現時点で緩やかな利上げを行う方が、後になって急激な利上げを迫られるより望ましい」と語った。

労働省が14日発表した6月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.5%上昇と、伸びは5月の4.2%から鈍化したほか、予想も下回った。

ローガン氏は6月のCPIの伸びはやや鈍化したとしながらも、目標への回帰に向けた「不確かな」道筋に過ぎないと指摘。「目標達成の可能性というよりは、希望に近い」と述べ、「物価安定の回復という責務を完遂する時が来ている」と指摘。中東情勢が再度緊迫化していることでエネルギー価格の低下傾向が反転しかねないほか、人工知能(AI)関連投資の急増が広範な分野で急激な物価上昇圧力につながる可能性もあるとし、インフレを巡るリスクは高まっていると警告した。

AIをはじめとする新たなテクノロジーについては、生産性向上を通して供給力が高められ、将来的には物価押し下げ要因になる可能性があるとしたものの、「こうした効果の規模や、具現化する時期には不確実性がある」とし、「需要面での影響はすでに顕在化している。需要が供給を上回れば、物価上昇という結果につながる」と述べた。

講演後の質疑応答で、テキサス州の一部企業は賃金を当初の想定以上のペースで引き上げているとの情報を得ているとしながらも、現時点で労働市場がインフレ圧力の源になっているとは考えていないと言及。労働者が高インフレに対応するため賃上げを求め、その結果として増加した支出がさらにインフレを加速させる「賃金・物価スパイラル」については、そうしたリスクは懸念しているとしながらも、賃金上昇で物価が押し上げられる状況が定着したと判断するのは時期尚早との考えを示した。

FRB内では、インフレリスクが上振れ方向に傾く一方で労働市場が底堅さを維持している現状を踏まえると、政策金利を現行水準に据え置くことは適切な政策対応ではないとの考えが少数派ではあるものの台頭。ローガン総裁が示した懸念は、こうした少数派の見解を反映しているとみられる。

FRBの政策金利は現在3.50─3.75%。FRBは6月16─17日のFOMCで4会合連続で金利据え置きを決定した。

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