[ワシントン 15日 ロイター] - 米労働省が15日発表した6月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比5.5%上昇し、伸びは5月の6.0%から鈍化したほか、市場予想の6.2%も下回った。前月比では0.3%低下と、予想外のマイナス。エネルギー製品価格の下落を背景に、低下幅は2025年4月以来、14カ月ぶりの大きさとなった。中東情勢が再び緊迫化する前からインフレ圧力が後退していたことが改めて示された。
6月は前月比では横ばいが予想されていた。5月の前月比での上昇率は0.6%と、当初発表の1.1%から下方改定された。
6月の財(モノ)価格は前月比1.4%下落と、下落幅は22年7月以来の大きさとなった。5月は2.3%の上昇だった。エネルギー製品価格が6.4%下落と、5月の8.4%上昇から反転したことが押し下げ要因となった。ガソリンは12%急落し、モノ価格の下落の約3分の2を占めた。
天然ガス価格は6.4%下落した一方、家庭用電力は0.7%上昇。原油やプラスチック樹脂・材料の価格も下落した。
<食料品価格が広範に下落>
食料品価格は0.6%下落。生鮮果物・メロンが2.2%、生鮮・乾燥野菜が6.0%、穀物が12.0%、それぞれ下落した。卵、油糧種子、牛肉、豚肉、鶏肉の価格も下落した。
変動が激しい食品とエネルギーを除くモノのコア指数は0.2%上昇。前月まで2カ月連続で0.7%上昇していた。モノのコアのインフレは鈍化したものの、AI関連の価格上昇は続いており、電子計算機と計算機関連機器の価格は6月に2.5%急上昇した。
6月はサービス価格が0.2%上昇し、5月の0.1%下落から反発した。卸売業者と小売業者が受け取るマージンは0.4%上昇し、サービス価格上昇分の60%超を占めた。家具、衣料品・宝飾品・靴・アクセサリーの価格も上昇した。証券仲介・ディーリング・投資助言の価格も上昇、ポートフォリオ管理手数料は0.5%上昇した。
一方、航空運賃は0.4%、ホテル・モーテルなどの宿泊料金は1.0%、それぞれ下落した。
前日発表された米消費者物価指数(CPI)でも前年比、前月比いずれも伸びの鈍化が示された。CPIおよび6月の雇用増加ペースの鈍化を踏まえ、米連邦準備理事会(FRB)による月内の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測は後退した。
ただ、米国とイランの戦闘再開を受けて原油価格が約4週間ぶりの高値を付けていることや、今回のPPI統計で人工知能(AI)関連の投資拡大に伴う価格上昇が改めて示されたことは、FRB当局者の懸念材料となっている。エコノミストは、こうした要因を踏まえると年内の利上げの可能性は依然残ると指摘した。
トレードステーションのグローバル市場戦略責任者、デービッド・ラッセル氏は「FRBに対する短期的な圧力はないが、長期的には原油が主導権を握っている」と指摘。「6月はエネルギー(価格の下落)が救いとなったが、ホルムズ海峡が早期に開かなければ、それも過去の話になるかもしれない」と述べた。
PPIとCPIのデータを基に、エコノミストは、6月の米個人消費支出(PCE)コア価格指数は前月比0.2%上昇と、5月の0.3%上昇から伸びが鈍化すると予想。前年比では3.3%上昇と、5月の3.4%上昇から伸びが鈍化するとの見通しを示した。