Orathai Sriring
[バンコク 14日 ロイター] - タイの首都バンコクにあるパブで12日夜に発生した火災は、少なくとも30人が死亡し、負傷者は75人(うち24人が重体)に上るという大惨事となった。これを受けて、タイのホスピタリティー業界における防火規制と、その執行の緩さが議論の的になっている。
当局によると、天井のエアコンで電気系統がショートしたことが火災の原因とみられる。消防隊は数分以内に到着したが、複数の要因が重なって多くの犠牲を生む結果となった。
火災を調査した専門家2人によると、音響効果を高める目的でステージ装飾に使われたとみられる可燃性の高い素材が瞬時に発火。激しい熱と煙、有毒ガスが発生し、店内に取り残された多くの人が窒息した。
現場を検分したタイ工学協会・防火工学委員会のブサコーン・センソック委員長は「今回の火災の激しさは、大量の可燃物によるものだ」と指摘。同氏は特に、可燃性の高い吸音材や装飾品に言及。ステージやバーカウンター周辺を中心に、天井全体に人工の樹木や花が設置され、緑の天蓋を形作っていたという。
ブサコーン氏は「火災はプラスチック製の素材を巻き込んだ。比較的密度の高いプラスチックだ。いったん着火すると、膨大な熱が蓄積し、噴射のような火柱を形成した」と説明。「その熱が下方に伝わり、下にあった素材を燃やした。詰め物の入った椅子は完全に焼失した」と語った。
ブサコーン氏や、現場を視察したタイ構造技術者協会のアモーン・ピマンマス会長によると、パブは飲食店として登録されていたが、実際の営業形態は規制要件の異なる娯楽施設に近いものだった。
アモーン氏は「娯楽施設として登録されていないと、排煙設備を欠くなど、防火システムが不完全になる」と指摘。「これにより煙と熱が滞留し、危険なリスクを生む」と述べた。
12日の火災発生後、バンコク市当局は装飾素材の使用や娯楽施設の定義など、複数の規制を見直す方針を示した。ブサコーン氏は「現在、リスクははるかに大きくなっている。しかし、われわれは依然として30─40年前に書かれた、現状を反映しない同じ法律を使い続けている」と述べた。