シチュエーションルーム

メイ首相は、離脱協定案が歴史的大差で否決されてからちょうど2週間にあたる29日に予定されている一連の議会採決を利用して、与党保守党内で支持が得られる合意をまとめようとしている。

だが政治家の間ではブレグジットを巡る駆け引きが続いており、今後の展開についてさまざまな予測を立て始めた英大手企業もある。英国は過去20年間、世界最大級の対外投資先だった。

EUのメンバーシップを巡る危機が最高潮に達する中、起こり得る結末としては、合意なき離脱、土壇場での合意、離脱延期、解散総選挙、それにブレグジットを決めた2016年の国民投票のやり直しがある。

「われわれが接触している企業の多くは、50条の延長を願っている」

コンサルティング会社KPMGのブレグジット責任者ジェームズ・スチュワート氏はこう話す。50条とは、離脱交渉の期間を2年と定めたEU基本条約(リスボン条約)の条文を指す。

「一部の企業は遅れていたが、現在ではほぼ全ての大手企業がブレグジット準備を始めている。ただ、離脱なき合意が現実になる場合、いつ対応策を実行に移すかの計画には企業間で幅がある」

「最も情報量の多い顧客ですら、何が起きても不思議はないと考えている」とスチュワート氏は言い、「企業が考えているのは、製品をある地点から別の地点にどう輸送するかや、市場アクセスの確保、そして4月に向けてシチュエーションルーム要員を十分に配置することなどだ。ブレグジットの結末を予測することは、ドッグレースの結果を予測することに少し似ている。安全な賭けなどない」と付け加えた。

ブレグジット対応の困難さは、どの産業セクターにとっても共通で、困惑させられると同時に高コストなものだ。

英製薬大手アストラゼネカは医薬品の備蓄を増やすとしており、独高級自動車メーカーのBMWは、ドーバー海峡の英仏両側にトラックの駐車エリアや倉庫を確保しようとしている。P&Oでは、所有する船舶をEUの税制にとどめるため、キプロスに登録を移すとしている。

英議会は29日、メイ首相の離脱代替案に加え、前出の「50条」の交渉期間延長を求めることで離脱を延期することを含む、他の議員が提出した修正案などを審議・採択する見通し。

著名なEU離脱派の保守党議員ジェイコブ・リースモグ氏は、メイ氏の離脱案は、アイルランドとの国境管理を巡るバックストップを削除するか無効化すれば、保守党内のEU懐疑派議員にも受け入れられる可能性があると発言している。

バックストップとは、他に何の合意も得られなかった場合に、アイルランドと英領北アイルランドとの国境管理の厳格化を防ぐもので、メイ氏の離脱案の中でも最も議論を呼んだ部分だ。

(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)

Guy Faulconbridge

[ロンドン 28日 ロイター]

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