Tom Bergin
[13日 ロイター] - トランプ米大統領は暗号資産(仮想通貨)事業への投資を促して個人投資家に多額の損失を招いた一方で、自身が得た収益の相当部分をより安全な運用先に振り向けていた。財務情報開示書類で分かった。
米政府倫理局(OGE)に提出された2025年の年次資産公開報告書によると、トランプ氏は自身と息子らが共同設立した暗号資産事業「ワールド・リバティ・フィナンシャル」や自身のミームコイン「$トランプ」の販売から14億ドルを超える収入を得た。
ロイターが過去2年間のトランプ氏の保有資産を分析したところ、暗号資産関連の資金が流入する中で、株式と債券のポートフォリオが少なくとも4倍に増えていた。25年末時点でこうした伝統的な金融商品の保有額は7億0300万─26億ドルで、24年末時点の2億2500万─6億0800万ドルから増加した。
提出書類は正確な数字ではなく、レンジで記載されている。ロイターは、トランプ氏が暗号資産から得たと報告した資金が、リスクの低い資産にどのように配分されたのかを正確に把握することはできなかった。
トランプ氏は暗号資産で得た収益の一部をそのまま保有しているものの、ロイターの分析を検証した9人のデジタル資産専門家は、トランプ氏が暗号資産を個人資産の主要な保管手段として信頼していないことが開示書類から読み取れると指摘した。
ハーバード大学ケネディスクールのデジタル資産政策プロジェクト・ディレクターを務めるティモシー・マサド氏は「大統領はデジタル資産を金融のフロンティアと位置付け、米国を世界の暗号資産の中心地にすると語っているが、開示書類が示しているのは、彼個人の戦略が、ミームコインやワールド・リバティ・トークンの売却を通じて暗号資産で手っ取り早く稼ぎ、その利益を株式や債券といった伝統的資産に投じるというものだ」と述べた。
トランプ氏の事業の大半を統括する持株会社「トランプ・オーガニゼーション」の広報担当者は声明で、大統領の財務情報開示は「トランプ・オーガニゼーションが引き続き強固な財務状況を維持していることを示している。世界水準の価値ある資産、潤沢な流動性、保守的なバランスシートに支えられている」と述べた。トランプ氏がなぜ暗号資産の収益を株式や債券のような伝統的な金融資産に投じたのかについてはコメントしなかった。