健康と安全保障上の配慮と言うが
もっとも10日の追悼式でモジタバ師の代理演説役となったのは、1979年のイラン革命の指導者ホメイニ師の孫であるアリ・ホメイニ師で、ここでも聖職者による支配体制における「継続性」を強調するために、家族の絆が利用されている様子がうかがえる。
ハメネイ師が聖廟へ最終的に埋葬される際、モジタバ師がついに姿を現すのではないかという憶測もあった。また直接本人ではないにせよ、録音されたメッセージや、新しい写真が公開されるのではないかと期待されていた。
それでもイランの政府高官筋は、3月8日に聖職者会議によって最高指導者に指名されて以来、モジタバ師の新しい画像や音声記録が一切公開されていない理由を、健康と安全保障上の配慮によるものだとしている。確かに戦争開始直後に父が暗殺されたことを考えれば、安全保障上のリスクは極めて高い。
一方イランで究極の権威を持つ政治的、戦略的、宗教的、そして革命的な象徴という立場にある以上、モジタバ師は回復途上とされる実際の健康状態以上に、精力的で健康そうな姿を示さなければならないのかもしれない。
モジタバ師の健康状態に関する公式発表は、5月にペゼシュキアン大統領が「指導者に面会し、状態は改善している」と述べたのが最も新しい。
当分の間は、革命防衛隊が国を厳格に支配しているように見えるとしても、イスラム神権国家の指導者がいつまで姿を隠し続けることができるのかは不透明だ。
スコットランドのセント・アンドリュース大学のアリ・アンサリ教授(現代史)は「後継者がそこにいないのに、どうやってカリスマ的な継承を成立させるのだろうか。たとえ当面は乗り切れたとしても、彼らにとって問題になるだろう。長期的に持続可能ではない」と指摘する。