長時間の読書や、邪魔の入らない環境での作業など、アテンション・スパン・マキシングの実践が、苦痛であると同時に充実感をもたらす理由はここにある。
1つのタスクにじっくりと時間をかけて集中することには、認知面でも情緒面でも、確かなメリットがあることが実証されている。
「理解が深まり、何かをやり遂げたという達成感が得られる。また、40の短い活動をせわしなくこなすのとは違い、1つの活動にじっくり取り組むことで、独特の穏やかな心地よさが生まれる」とハッチンスは指摘する。彼がスマホを置いて1時間読書をすることを勧めるのはそのためだ。
しかし同時に、このトレンドの捉え方には注意が必要だとハッチンスは訴える。「マキシング(最大化)」という言葉には、そもそも人々の集中力を散漫にする原因となった、成果至上主義的なマインドセットが透けて見えるからだ。
「本来であれば、今ここに存在し、休息している状態であるはずの集中力を、またしても最大化してSNSに投稿するための『パフォーマンスの測定基準』へと変えてしまった」とハッチンスは指摘する。「これでは、集中力を崩壊させたのと同じ思考回路だ」
結局のところ、集中力とは勝ち取るものでも測定するものでもなく、経験するものなのだとハッチンスは言う。
「それ自体を目的に集中力を養うなら、長く維持できるだろう。しかし、集中力を他人に勝つためだけに鍛えようとすれば、敗北は目に見えている」
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