メディア環境が思考に与える影響について20年近く研究をしている行動・組織心理学者のボブ・ハッチンスも、集中力は取り戻せると同意する。ただし、そのプロセスを単純に捉えるべきではないと警鐘を鳴らす。

「集中力は、ジムで鍛え上げるような単一の筋肉ではない」と、ハッチンスは述べる。「むしろ鍛えられるのは、退屈や違和感に対する耐性であり、脳が期待する報酬の基準だ」

分厚い本を読んだり、長い映画を観たりしているときに、期待する報酬が得られないと、不快感を覚えたり、イライラしたりすることさえある。

ハッチンスによると、短尺のコンテンツに繰り返し触れていると、脳は「スワイプすれば次の瞬間に退屈が解消される」と学習してしまう。その影響は、永続的な認知機能の障害というよりは、むしろ「落ち着きのなさ」として現れるという。

短尺コンテンツを絶えず消費することの影響は、ニュースの見出しが煽るほど単純明快ではないと彼は言う。「脳に永続的なダメージがあるという明確な証拠はない。そもそも、その影響を調べるための十分な時間がまだ経っていないからだ。だが、条件付けのメカニズムについては分かっている」

この条件付けによって、脳は何が何でも退屈を避けようとするようになる。その結果、どのくらいの時間集中できるかという長さだけでなく、集中している状態そのものの捉え方にも影響が及ぶという。

ハッチンスは、マインドフルネスの専門家ジョン・ティーズデールが提唱した、思考の2つのモード、「行動モード」と「存在モード」を挙げて説明する。

行動モードとは、常に次のタスクを追い求めている状態であり、存在モードは、1つの体験の中に留まることを可能にする。「短尺コンテンツに依存し続けると、行動モードにロックされてしまう。深く意識的な集中を取り戻すには、存在モードという選択肢があることを思い出す必要がある」

トレンドにする危うさ
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