Karin Strohecker
[ロンドン 6日 ロイター] - 経済的に台頭する新興諸国の呼称として「BRIC(ブリック=ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字)」の概念を最初に提唱したエコノミストのジム・オニール氏はロイターのインタビューで、BRICに南アフリカを加えたBRICS諸国が将来的にドルに代わる金融システムを構築する可能性について「ごく最近まで幻想だと思っていた」が、デジタル決済技術の進歩を受けて最終的に実現してもおかしくないとの認識に改めたと語った。
国際通貨の枠組みは1970年代のブレトンウッズ体制崩壊後、ドルが圧倒的な基軸通貨としての地位を維持してきた。
ただオニール氏は「将来の通貨システムがどうなるかは分からない」と主張した。
近年は新興国を中心に、貿易決済や投資、外貨準備におけるドル依存を減らす「脱ドル化」の動きが広がってきた。とはいえドルは依然として世界で最も重要な準備通貨・決済通貨の地位を保っている。
一方でオニール氏はBRICSのこれまでの実績について「象徴的な意味合いは非常に大きい」と評価しつつも「具体的な成果となると、新開発銀行(NDB)の設立以外には思い当たらない」と指摘。加盟国の地政学的・経済的利害の違いが、国際経済システム改革に向けた取り組みを難しくしているとの見方を示した。
BRICSでは現在、ドル建て決済に代わる仕組みとして、独自決済基盤「BRICSペイ」構想のほか、インドの統一決済インターフェース(UPI)、中国の国際銀行間決済システム(CIPS)、ブラジルの即時決済システム(PIX)の各連携や、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の活用などが議論されている。
BRIC4カ国は2009年に初の首脳会議を開催し、翌10年に南アフリカが加わった。その後は「BRICSプラス」へと発展し、エジプト、エチオピア、インドネシア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)などが参加する枠組みとなっている。
オニール氏は、ジェマ・チェンガー・デン氏とともに非営利政策プラットフォーム「BRICSプラス・シンキング」を設立した。同組織は、西側諸国とBRICSプラス諸国の協力促進を目的とした研究を進めるほか、独自指数の開発やBRICSプラス経済圏の成長予測の公表を計画している。
デン氏は、同組織が気候変動やエネルギー移行、世界保健、人工知能(AI)統治などの分野で政策立案に資する提言を行う考えも明らかにした。
オニール氏は「BRICSは以前よりはるかに注目を集めている。過去25年間、米大統領がBRICSについて言及した記憶はないが、ドナルド・トランプ氏はこの話題を繰り返し取り上げている」と述べた。