2014年7月、ドイツがリオデジャネイロで ワールドカップ(W杯) の優勝トロフィーを獲得したとき、本誌はそれを「ドイツの世紀」の幕開けと評した。

選手や評論家、政治家の多くは、この瞬間を歴史の転換点と受け止めた。その後、ドイツはスポーツのみならずさまざまな分野で欧州をリードする存在となり、合理性を重視する問題解決モデルは世界の手本になると考えられた。
「2014年当時のドイツは、安定した経済成長、失業率の低下、政府債務の縮小が続く局面にあり、経済的にも政治的にも盤石に見えた」。ドイツ・ミュンヘンのIfo経済研究所のクレメンス・フュースト所長はそう振り返る。
しかしドイツ代表はその後、W杯で早期敗退を続けている。今回の北中米W杯でも、パラグアイと1-1で引き分けた末、PK戦で3-4と敗れた。
W杯でPK戦に敗れたのは史上初で、ドイツ代表にとって苦難の時代を象徴する結果となった。
◾️かつての常勝軍団はどこへ
1954年から2014年までの16大会では12度も準決勝に進出したが、2014年の優勝以降は12年間、決勝トーナメントで一度も勝てていない。2018年と2022年にはグループリーグ敗退を喫している。
今回の敗退は、サッカーだけにとどまらないドイツの衰退を浮き彫りにした。
開催国ブラジルに7-1で歴史的大勝を収めた勢いのまま、決勝でアルゼンチンを1-0で破ったドイツ代表について、多くの識者は「今後の国際サッカーを方向づける技術力の新たな基準を打ち立てた」と評価した。
その成功は単なるスポーツの快挙ではなく、混乱する世界における秩序ある国家モデルとしてのドイツを象徴する出来事と受け止められた。
世界銀行も称賛に加わり、この優勝を「戦略の勝利」と呼び、国家レベルの「超効率的」な計画立案能力を示す出来事と位置づけた。