Kentaro Sugiyama
[東京 19日 ロイター] - 日銀が4月27─28日に開いた金融政策決定会合では、先行きの政策運営について、現在の実質金利がきわめて低水準であることを踏まえ、今後も経済・物価・金融情勢に応じて利上げしていくことが適当との認識を委員間で共有した。利上げのタイミングやペースについては、中東情勢の展開を注視したうえで、日銀の見通しが実現する確度やリスクを点検しながら検討していくことで一致した。
日銀が19日、4月の決定会合の議事要旨を公表した。同会合では、中東情勢の展開や日本の経済・物価に及ぼす影響を見極めたいとする委員が多く、賛成多数で金融政策の現状維持を決めたが、3人の委員が物価の上振れリスクなどを指摘して利上げを主張し、反対に回った。
<物価の上振れリスクを警戒>
先行きの政策運営については、何人かの委員が、経済の成長ペースがいったん減速したとしても、基調的な物価上昇率の経路にそれほど影響を及ぼさないのであれば、引き続き政策金利を引き上げていくことになると指摘。物価の上振れリスクが経済の下振れリスクを大きく上回ると判断される場合にも、利上げの是非が議論の対象になり得るとの見解を示した。
利上げのタイミングやペースについて、ある委員は、中東情勢の帰趨が不透明な状況が続き、中心的な見通しが実現する確度が高まらない状況であっても、経済・物価を巡るリスクの大きさや方向次第では、次回(6月)以降の決定会合での利上げの判断は十分にあり得るとの認識を示した。
これに関して、別の委員は、経済の下振れリスクの主因が物価上昇である場合、まずは物価の安定に努めて経済の下振れを和らげることが、物価の番人としての日銀の使命であると指摘した。
何人かの委員は、中東情勢の緊迫が長期化し、原油価格が高止まりするリスクがある場合には、基調物価の上振れを防ぐため、中立金利に向けて、より早く政策金利を引き上げることが望ましいとの認識を示した。このうちの一人の委員は「中立金利までまだ距離があり、今後、数か月に一度のペースで利上げを続ける必要がある」と指摘したうえで、「物価の上振れリスクが高まる場合には、利上げペースを躊躇なく加速する必要がある」との見解を示した。
ある委員は、サプライチェーンの大規模な混乱が生じ、数量面の制約が深刻化した場合には「利上げは行わずに緩和的な金融環境を維持することが望ましい」との見解を示した。
これに対し、別のある委員は、サプライチェーンの大規模な混乱が生じる場合、物価には大きな押し上げ、景気には大きな下押し圧力がかかることになるが、この場合の中銀の対応は「利上げをやめることではなく、必要に応じ、市場に潤沢に流動性を供給して企業の資金繰りを支えることである」と指摘した。
<金融政策の維持、9人中3人が反対>
4月会合では、金融市場調節方針の維持を賛成多数で決めたが、3人の審議委員が反対に回った。中川順子審議委員、高田創審議委員、田村直樹審議委員が1.0%への利上げ議案を提出し、反対多数で否決された。
議事要旨では、個々の発言者は特定されていないものの、会合後に公表された声明文によれば、中川委員が物価の上振れリスクの高まりを指摘。高田委員が物価安定目標がおおむね達成されている中、海外発の物価上昇の二次的波及により国内物価の上振れリスクが高まっているとした。田村委員は物価上振れリスクの拡大を踏まえ、中立金利に近づける必要があると主張した。