David Milliken Andy Bruce
[ロンドン 18日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は18日、政策金利を3.75%に据え置いた。インフレ圧力の高まりの程度が不明確な中、現段階での利上げは時期尚早と判断した。
金融政策委員会(MPC)は7対2で金利据え置きを決定、ロイター調査によるエコノミスト予想に沿った結果となった。グリーン外部委員がチーフエコノミストのピル委員とともに0.25%ポイントの利上げを主張した。
大半の委員は利上げ姿勢に近づいた様子はほとんどなく、ベイリー総裁が「積極的据え置き(active hold)」と呼ぶ姿勢をおおむね維持した。総裁はこれを、イラン紛争前の市場の利下げ期待と比べれば事実上の引き締めとみなしている。
決定は、トランプ米大統領がイランとの紛争終結に向けた合意に署名した直後に下された。ベイリー総裁はこの進展を「非常に心強い」と評価したが、英国のインフレがさらに上昇するのを止めるものではないと述べた。
英中銀の姿勢は、最近利上げに踏み切った欧州中央銀行(ECB)や日銀、ウォーシュ新議長の下で初となる連邦公開市場委員会(FOMC)で年内利上げを見通した米連邦準備理事会(FRB)のスタンスとは対照的だ。
英ポンドは決定後、対ドルで小幅下落している。市場は依然として12月までの利上げを完全には織り込んでいない。
資産運用会社シュローダーのシニアエコノミスト、ジョージ・ブラウン氏は「中銀は現時点で、攻めに出るというより時間稼ぎをしている。利上げのハードルは依然高いようだ」と述べた。
<イラン合意で英国のインフレ圧力緩和も>
米国とイランの間で暫定的な停戦が成立したが、中銀はインフレの脅威が去ったと宣言するのは時期尚早と指摘。ベイリー総裁は声明で、「今後何が起ころうとも、過去4カ月間のエネルギー価格上昇は、一定のインフレ圧力が控えていることを意味する」と述べた。
中銀は今年第4・四半期のインフレ率が5月の2.8%から3.25%を上回る水準に上昇すると予想。ただ4月に示した3つの主要シナリオのうち2つで予測していた3.6─3.7%への上昇よりは小幅な伸びとなる。
中銀はまた、成長についてもわずかに楽観的な見方を示し、4月に生産が小幅に落ち込んだが四半期当たり基調ペースで0.2%拡大していると推計。前回予想の0.1%から上方修正した。
大半の委員にとって、失業率の上昇と賃金の伸び鈍化を伴う労働市場の弱さは、新たな短期的なインフレ加速が目標復帰を長期的に困難にする可能性を低下させるものだった。
しかしピル氏とグリーン氏はこれに同意せず、ともに家計のインフレ期待を抑制するために利上げが必要だと主張した。家計のインフレ期待は中銀四半期調査では2009年以降で最高水準にあるが、月次調査では低下している。
インフレ率は過去5年間の大半で中銀の2%目標を上回ってきた。とりわけ2022年のロシアによるウクライナ侵攻は、英国のインフレ率を11%超に押し上げた。
グリーン氏は「先制利上げはインフレ期待の安定につながる」と述べた。
<生活費上昇が国民を圧迫>
生活費高騰で多くの国民が政治家に不満を抱いており、スターマー首相の支持率は急低下している。
マン委員は、ピル、グリーン両氏の利上げ支持票に加わる最も近い位置にいたとみられた政策メンバーで、金利据え置きに投票した他のMPC委員よりもインフレリスクが顕著だと判断していた。ただ議事要旨で同氏は、「強力な政策金利決定はインフレとインフレ期待に迅速に効果を与える」として、待つ余地があるとの見方に同意した。
ロンバルデリ副総裁は、エネルギー価格高騰が続くなか二次的インフレ効果のリスクが高まっているとしつつ、これまでのところはエネルギー価格上昇の転嫁は標準的との見方を示した。