Miho Uranaka
[東京 18日 ロイター] - 全国銀行協会の加藤勝彦(みずほ銀行頭取)会長は18日の定例会見で、フロンティアAI(先端人工知能)の出現により高度なサイバー攻撃の増加が懸念され「脅威の次元が大きく変わってきている」と指摘した。銀行のシステムに重大な弱点が見つかった場合は、修正対応を行う際、顧客資産保護の観点からATMなど「一部のサービスを能動的に停止」することも想定されると述べた。銀行業界からのフロンティアAIに関する公式発言は初。
フロンティアAIが脆弱(ぜいじゃく)性を大量に発見した場合、システム管理者は迅速な修正プログラム(パッチ)対応を求められる。しかし、パッチ適用がサービスに与える影響を事前に十分検証する必要もあるため、限られた時間や人員の中で、資産保護とサービスの安定提供のどちらを優先するかという判断を迫られる可能性がある。
加藤会長は、そうした状況下では「顧客の資産を守るため、被害を未然に防ぐことを最優先に対応する必要がある」と指摘。影響の範囲や緊急性によっては、各金融機関の経営判断によりインターネットバンキングやATMなど一部のサービスを停止し、修正作業や安全確認を行うことも今後想定されるとの見方を示した。
また、金融機関のみで完結する問題ではないとして、システム開発や運用、クラウドサービスなどの関係先との迅速な情報共有や修正対応に向けた連携が不可欠との認識を示した。
ミュトスのアクセス権の有無については発言を控えるとした。
金融庁と日銀は5月、金融機関に早期対応を図るよう要請した。各種対策を講じてもサイバー攻撃を防げない可能性を前提に、優先的に対応すべきサービスやシステムを能動的に停止せざるを得ない場合についても検討しておくべきだとしている。
米アンソロピックの「クロード・ミュトス」などの最先端AIは、従来は発見が困難だったシステムの欠陥や弱点を短時間で大量に特定し、攻撃コードも生成する。実攻撃に至るまでの期間が大幅に縮まるほか高度な攻撃が可能になり、サイバー攻撃の速度と規模が拡大すると警戒されている。
日銀の政策運営について加藤会長は、個人的な見解とした上で、中東情勢が依然不透明なため「経済の状況を見ながら適切に判断していると認識」していると述べた。その上で、日銀は政策対応がビハインド・ザ・カーブ(後手に回る)にならないように適切に運営を行うと表明しており、「そうなっていく」と理解していると語った。
日銀は16日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コールレート翌日物の誘導目標を0.75%程度から1.0%程度に引き上げることを決めた。