John Geddie Maki Shiraki Daniel Leussink
[東京/ロンドン 18日 ロイター] - 英国政府がイングランド北東部にある日産自動車のサンダーランド工場への資金支援について、同社と詰めの協議を行っていることが分かった。長期的なコミットメント(確約)と投資が条件だという。事情に詳しい5人の関係者が明らかにした。
日産は英国最大の自動車メーカーで、英国自動車工業会(SMMT)のデータによると、2025年の英国内における自動車総生産台数の35%超を占める。サンダーランド工場は英国最大の自動車生産拠点で、従業員約6000人を抱える。同社は現在、工場閉鎖や人員削減、車種の見直しなど世界規模の構造改革を進めており、稼働率が低下しているサンダーランド工場の先行きにも懸念がくすぶり続けている。
関係者2人が匿名を条件に語ったところによると、自動車メーカーに電気自動車(EV)の生産を義務付けるゼロエミッション車(ZEV)規制に関する英国政府の緩和計画確定に合わせて日産も同国での生産活動に関する新たなコミットメントを表明する見通し。
別の関係者2人は、最終的な条件はまだ協議中だとしつつ、英国政府と日産が今夏にもZEV規制緩和計画と同工場に関して何らかを発表する見込みだ、と述べた。
関係者の1人は、英政府と日産の代表者は先週末、高市早苗首相の訪英に合わせてロンドンで会合を持ったと語った。関係者らはいずれも、事案の機密性を理由に匿名を条件とし、最終的な条件はまだ流動的だと強調した。
英国政府の報道官は日産との協議についてコメントを控えたが、日産は「重要かつ長年のパートナーだ」と指摘。ガソリン・ディーゼル車の段階的廃止に向けたZEV義務化の方針を堅持しつつ「現実的かつバランスの取れたアプローチ」での見直しには柔軟に対応する姿勢を示した。
日産の広報も協議に関して言及を避けたが、「英国政府と強固かつ協力的な関係を築いており、今後も引き続き連携していくことを楽しみにしている」とコメントした。
<EV規制の緩和>
関係者2人によると、英国政府による日産への資金支援は、サンダーランド工場での新型車や派生モデルの生産、雇用維持へのコミットメントが条件となる見通し。支援は条件付きの補助金や税制優遇措置、助成金などの形をとる可能性があるという。
英国政府は現在、EV販売目標の未達に対して制裁金を科すZEV規制の緩和に向けて協議中。規制が緩和されれば、日産は同工場でハイブリッド車(HV)をより多く生産する可能性がある。
日産は23年、英国の同工場に最大11億2000万ポンド(約15億ドル)を投資すると発表。スポーツ多目的車(SUV)の「ジューク」と「キャシュカイ」の新型EV2車種を順次生産する計画を打ち出した。この投資は新たなギガファクトリー(電池工場)を含むインフラやサプライチェーンなどの広範な投資を呼び込む契機となるはずだった。しかしその後、業績が悪化した同社は再建に向けて構造改革を断行。世界で7工場を閉鎖し、グループ全体の15%に相当する約2万人の人員削減、モデルも56車種から45車種に絞り込む方針を示した。
日産は5月にサンダーランド工場に2本ある生産ラインのうち1本に車両生産を集約する方針を発表。今月3日には、中国の奇瑞汽車(チェリー)と覚書を締結したと発表し、27年度に同工場の生産ライン1本を使用してチェリーの乗用車を受託生産する可能性も協議していると明かしていた。