Julie Steenhuysen

[シカゴ 15日 ロイター] - 先週開幕したサッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会期間中に、エボラウイルスに感染した旅行者が米国に到着するリスクは低いもののゼロではなく、もしそうした事態になっても米国の病院は対応の準備ができている――。複数の米国の感染症専門家はこう話している。

以前は受け入れ態勢が整っていなかった。2014年に西アフリカ地域でエボラ出血熱の感染拡大が起きた際には、リベリア人のトーマス・エリック・ダンカン氏がエボラの症状を呈して米南部テキサス州ダラスの病院を訪れたが、入院が許可される前に一度追い返された。その際に2人の看護師が感染したが、一命を取り留めている。

この教訓を踏まえて米連邦政府はエボラへの備えとしての訓練や対応能力の向上のために2億6000万ドルの資金を投入し、13の専門治療センターが設置された。これらは全て病院がエボラ出血熱の疑いがある患者を特定して隔離し、安全に治療できるようにすることを目的としている。

米国にある11のW杯開催都市の1つ、南部ジョージア州アトランタのエモリー大学の重症感染症専門家、ギャビン・ハリス博士は「感染を100%防ぐことはできないが、間違いなく、これまでで最も準備が整った状態にある」と言い切った。

米国、メキシコ、カナダ3カ国で計104試合が行われる39日間のW杯期間中、650万人のサポーターらが北米を移動することから、米国の開催都市の公衆衛生当局や病院はさまざまな感染症の脅威に備えてきた。

米疾病対策センター(CDC)、米州保健機関(PAHO)、世界保健機関(WHO)はいずれも、W杯開催国におけるエボラ出血熱感染リスクは低いとしており、大勢の人が集まる際に広がりやすい麻疹(はしか)、新型コロナウイルス、インフルエンザを最も可能性の高い脅威として挙げている。

ただ675人超が感染し、135人余り死亡したコンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の感染拡大を巡る懸念は払しょくされていない。

国際的な非営利公衆衛生団体リゾルブ・トゥ・セーブ・ライブスの最高経営責任者でCDC元所長のトム・フリーデン博士は「W杯に参加する人々にとって、エボラのリスクは極めて低い。エボラは空気感染せず、日常的な接触では広がらない。感染している人の体液に直接接触する必要がある。しかし低いからといって(リスクが)ゼロではなく、コンゴ民主共和国の発生源で流行が食い止められない限り、ゼロになることはない」と警告した。

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