Echo Wang
[ニューヨーク 11日 ロイター] - 米実業家イーロン・マスク氏が率いる米宇宙企業スペースXは、新規株式公開(IPO)を通して750億ドルを調達した。2019年のサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコを大きく上回り、過去最大を更新。宇宙、衛星、人工知能(AI)分野を手掛けるスペースXは12日にナスダック市場で取引を開始する。
スペースXは今月3日、IPO価格を1株当たり135ドルに設定。価格は11日に設定される見通しだったが、1週間前倒しで決定された。こうしたことは米国の主要IPOではほとんど前例がなく、マスク氏は自らのやり方で資金調達を実現した。
スペースXは1株135ドルで約5億5555万株を発行し、過去最大となる750億ドルを調達。発行済み株式数(130億8000万株)などに基づくと、上場時の時価総額は1兆7700億ドルになる計算で、引受証券会社が追加売り出しを実施する権利を行使すれば、時価総額はさらに増える可能性がある。この決定は通常、公開後30日以内に行われる。
スペースXは2002年創業。自社の使命を「人類を多惑星種とするために必要なシステムと技術を構築し、宇宙の真の姿を解明し、意識の光を星々へと広げること」と定義している。
一部のアナリストは高い企業価値評価が正当化されるか疑問視している。
50パーク・インベストメンツのアダム・サーハン最高経営責任者(CEO)は「真の試金石は、初日だけでなく今後数週間で市場がこのIPOをどう消化するかだ」と指摘。
「価格設定はほぼ妥当な水準で、過熱しすぎでも冷め過ぎでもない。明らかに個人投資家が買っており、現段階では大きな比重を占めている。初日の取引後にも継続的な動きが見られるかが鍵だ」と述べた。
スペースXは米東部時間午後3時(日本時間12日午前4時)すぎ、銀行団との価格決定会合が終了し、米市場がまだ取引中の時間帯に、米証券取引委員会(SEC)に提出した「自由記載目論見書」でIPO価格を伝えた。
スペースXはその30分後にプレスリリースを発表した。通常、発行体はマクロ経済イベントやニュースが価格に影響を及ぼすことを警戒するため、価格決定会合とIPO価格の発表は午後4時の通常取引終了後に行われる。
チェリーレーン・インベストメンツのパートナー、リック・メックラー氏は「スペースXの価格設定はまさに前例のない領域だ。注文に基づく通常の価格発見プロセスではなく、価格が先に発表されるのを見たのは初めてだ」と指摘。「個人投資家への重点の置き方が並外れており、彼らはおそらく価格にやや無頓着だ」と述べた。
投資家は12日から市場の反応を見ることができる。取引規模と複雑さを踏まえ、多くのアナリストは取引開始が午後になると見込んでいる。
IPOに特化したリサーチや上場投資信託(ETF)を提供するルネサンス・キャピタルのシニアストラテジスト、マット・ケネディ氏は「ほとんどのIPOは10─15%の範囲で上昇する。この案件は多くの期待を集めているため、10%を下回るリターンはやや期待外れだろう」と指摘。「50%超上昇すれば、それは純粋な期待感で取引されていることを示す」と述べた。