中東情勢の緊迫が引き起したジェット燃料価格の高騰が世界的な旅行市場に波紋を広げている状況で、富裕層の最高経営責任者(CEO)、有名人、スポーツスターたちはモナコ・グランプリ(GP)からカンヌ映画祭に至るまで華やかなイベントを目指してかつてないほど多くのプライベートジェットで旅行している。

プライベートジェット産業界のウォッチャーによると、この現象は高級品から外食まで消費市場の全体に現れている、いわゆる「K字型」経済の新たな象徴だ。高所得の旅行者が支出を増やす一方で、中・低所得層は財布のひもを固く締めており、特に格安航空会社(LCC)が深刻な打撃を受けているためだ。

ジェット燃料のコストはイラン戦争が今年2月後半に始まって以来おおむね2倍になり、世界中の航空会社が運航便のキャンセルや航空運賃の値上げに追い込まれている。一方で、ペルシャ湾周辺に対するミサイルや無人機(ドローン)の攻撃で、かつて世界的な中継地であったこの地域を通過するフライトがほぼ半減した。

航空データ会社WINGXによると、世界全体のプライベート航空便数は今年これまでのところ約4%増加し、数千回もの便数を上乗せしている。航空分析会社シリウムのデータによると、世界全体の航空輸送能力はこの同じ期間中に3―4%減少した。

かつてないほどの忙しさ

プライベートジェットのパイロットや業界幹部らがロイターに語ったところによると、中東の紛争がもたらした商業航空便の欠航や空港の混乱を巡るリスクを回避するために、富裕層の旅行者がプレミアムクラス、ビジネスクラス、ファーストクラスを見限り、チャーター機サービスの利用が急増しているという。