Tamiyuki Kihara
[東京 10日 ロイター] - 防衛装備の生産基盤強化や輸出促進を国の監督下で一体的に実施するため、政府が新たな法人「防衛公社(仮称)」を設立する方向で検討していることが分かった。独立行政法人のように国の業務を効率的に行う外部組織が念頭にあり、安全保障の急速な変化に迅速に対応できるようにする狙いがある。年末に改定する国家安全保障戦略などの「安全保障関連3文書」に方針を盛り込み、来年の通常国会での関連法の整備を目指す。
複数の政府関係者によると、公社は装備品の生産工場を管理したり、民間と共同事業体を組んで生産・技術基盤を強化したりする主体となる。日本の防衛産業はこれまで、平時を前提に生産基盤を構築してきた。政府は今後、戦闘を継続する能力(継戦能力)を保持するため、有事を前提に弾薬や無人機など装備の量産体制の整備や人材の育成・確保に注力する構えだ。
関係者の1人は「独立行政法人という形になるかもしれない」と述べ、法人の形態を含めて詰めの検討を進める考えを示した。国よりも意思決定が迅速で、資金の融通も自由度が高まる。人事異動の多い省庁に比べ、専門的な人材を集めやすい利点もある。
政府は4月、防衛装備移転三原則の運用指針を改定。これまで救難・輸送・警戒・監視・掃海の「5類型」に限ってきた輸出品目の規制を撤廃し、ミサイルや戦闘機など殺傷能力のある武器を含むすべての装備が輸出可能となった。公社はこうした品目の輸出を促進するため、他国からのニーズの把握やプロモーション、資金調達など多岐にわたる業務を担う可能性がある。
前出の関係者は「防衛省が公社設立に向けた準備を担っている。安保3文書改定の目玉の一つだ」と説明した上で、新たな法人を作るための法整備が必要になるとし、「来年の通常国会で審議することになるだろう」と話した。
また、政府与党内では、国が工場・設備を取得し、生産や施設管理を民間に委託した上で安定的な装備生産につなげる「国有施設民間操業(GOCO)」の検討が進む。公社がGOCOの主体として施設管理を担う構想もある、とこの関係者は述べた。
防衛省の担当者は「まず与党内の合意や予算獲得が必要で、方針が決まっているとは言えない」とした。
自民党で安保3文書改定に向けた提言の取りまとめを担う小野寺五典・元防衛相はロイターの取材に、公社設立は最終決定ではないとしながらも、装備移転の際には移転先との調整や企業とのマッチングなど様々な調整が必要になると説明。「仲介をする専門的なところが必要だ」と強調した。装備を移転する際には、現地での使用方法の説明や整備なども必要になるとも述べ、「自衛隊が直接やるのではなく、別の機関が例えば自衛官のOBなどを採用し、その人たちが操縦やメンテナンスの仕方を教えていくこともセットでやらなければならない」と語った。
(鬼原民幸 編集:久保信博)