<より良い待遇を求めて医師がスト突入…若手医師の多忙さは理解できるが、スト期間中にとんでもない臨時収入を得るツワモノも>
僕が16歳の時、型破りな教育実習生が学校に来て、経済の授業をいくつか受け持った。ある時の授業で、僕たちは彼が何を言っているのかまるで分からなかったのだが、最近になってある理由から彼のことを思い出した。
当時はイギリスをストライキが覆った悪名高い時代だった。印刷業の労働者たちは、ルパート・マードックがデジタル印刷に切り替えたサン紙とタイムズ紙の制作・流通を阻止しようとしていた。けた外れの13カ月におよぶ炭鉱労働者ストも目の当たりにした。それはさながら階級闘争のようなものだった。
それ以前には、自動車製造部門が「山猫スト」(どこか1つの部門の労働者たちが単独で職務放棄することで生産ライン全体が止まってしまうスト)で壊滅的な打撃を受けていた。1つが解決すると、今度は別の部門がストに入る。
夕方のニュースでは、決まって最新の「労働争議」が報じられていた。当時はしょっちゅう耳にしたのに、その後すっかり聞かなくなった表現は、「調停のため、労使紛争調停機関ACASが介入した」というものだ。
例のその教師の授業では、僕たちはなぜイギリスの経済状況が悪いのかを議論していた。僕たち生徒は、労働者が賃上げ・労働時間短縮を際限なく要求して全てを台無しにしている「イギリス病」が問題なのだ、というお決まりの答えをおうむ返しに口にした。経営側と労働組合が調和的に協力し、全体の利益になる日本のようになればいいのに、とも話した。
するとその逆張りの教師は、こう切り返した。高度専門職の人々が、そうしたハイクラスの職に就く道を巧妙に制限し、そうすることで自分たちの需要を高め、明確に一線を画し、(ストなどする必要もなしに)自分たちの賃金を効果的に押し上げていることにも目を向けるべきかもしれない、と。
僕たちはそんな話を聞いたことがなかったので、ただもう理解できなかった。