「全てのゴキブリが集まれば」

「もし全てのゴキブリが集まったらどうなるだろうか」──。

騒動の発端は、ディプケ氏が5月16日にXへ投稿した一文だった。この投稿は瞬く間に拡散された。

ディプケ氏によると、この投稿はインド最高裁スーリヤ・カント長官による発言への反応だった。カント氏は、一部の失業中の若者をゴキブリになぞらえるような発言をしたとされる。

カント氏は後に、若者全体を批判する意図はなかったと説明。「偽の学位」を持つ人々を指し、そうした人々を「寄生虫」になぞらえたのだと述べた。

CJPはその後、綱領を掲げ、スマートフォンの上に乗ったゴキブリの画像をマスコットに採用した。国内のインフルエンサーやコンテンツクリエイターが次々とメッセージを拡散し、CJPは数日のうちにインスタグラムで巨大な支持を獲得。フォロワー数は、モディ氏のBJPが10年以上かけて得た930万人を大きく上回った。

政府統計によると、25年の15歳以上の失業率は3.1%だった。しかし15ー29歳に限ると9.9%に上り、都市部では13.6%と、農村部の8.3%を上回った。

ディプケ氏は、こうした不満を抱える若者たちがCJPのアカウントに集まっているとみている。

北部ラクナウのテック企業で初級職に就くシュリン・ディクシットさん(23)は「私は経営学修士号(MBA)を持っているが、今の仕事は学歴に見合っておらず、給料も低すぎる」と明かし、「このグループが抗議行動を呼びかけるなら、私は参加するつもりだ」と語る。

CJPの急速な台頭は、近隣のバングラデシュやネパールで死者も出したZ世代主導の政権打倒運動と比較されることもある。ただ、ディプケ氏はこうした比較には慎重だ。

CJPのフォロワーの7割は28歳未満で、特定の政党を支持しない非政治的な人々だとディプケ氏は言う。

「彼らは失業問題やインドでの生活水準の低さを巡り、政府に不満を抱いている」とした一方、「彼らは野党にも失望している。野党はこれまで政府を追及する上で、実質的な行動を何もしてこなかったからだ」と指摘した。

専門家からは、資金力を持つ既成政党に挑むのは容易ではないとの声も上がる。

発展途上社会研究センター(CSDS)のサンジャイ・クマール氏は「現実の場での活動、資金調達、ボランティアの確保、これらはいずれも人員や資金を必要とする大きな課題だ」と述べた。

さらに、街頭での抗議活動にはリスクも伴う。モディ政権下では過去、大規模デモに対して当局が厳しい取り締まりを行い、参加者が死亡した例もある。

それでも、多くの支援者は楽観的だ。

政府を批判的に取り上げるリール動画で知られるコンテンツクリエイターのマドリ・カコティ氏は、こう語った。

「(CJPが)近いうちに組織作りを巡る何らかの計画を示してくれることを願っている。Z世代は流行に飛びつくのも早いが、飽きるのも早い」。

[ロイター]
トムソンロイター・ジャパン
Copyright (C) 2026トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます
ニューズウィーク日本版 サッカーW杯 日本が優勝する日
2026年6月9日号(6月2日発売)は「日本が優勝する日」特集。

Jリーグ発足後、飛躍的に進化した日本サッカー。W杯の頂点に挑み世界を驚かせる時が来た

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます