<電子マネーの開発者デービッド・チョムが語る、ブロックチェーンを使った未来型セキュリティー対策>

※12月4日号(11月27日発売)は「インターネットを超えるブロックチェーン」特集。ビットコインを生んだブロックチェーン技術は、仮想通貨だけにとどまるものではない。大企業や各国政府も採用を始め、データ記録方法の大革命が始まっているが、一体どんな影響を世界にもたらすのか。革新的技術の「これまで」と「これから」に迫った。

(この記事は本誌「インターネットを超えるブロックチェーン」特集より転載)

少し前まで、朝は自分でコーヒーを入れて、新聞を読んでいた。今では毎朝スマートフォンにニュースが押し寄せ、インターネットにつながったスマートコーヒーメーカーが自動的にエスプレッソを入れてくれる。

使い勝手のいいデジタル機器の登場で、生活はぐっと便利になった。だが利便性と引き換えに、私たちは検索ワードや訪問したウェブサイトなどの情報を差し出している。そこで使われるプログラムなどは仕事や家事を楽にする一方、私たちをある社会集団に──時には間違って──分類する。アクセスを許した情報がいずれ、私たちに不利な形で利用されないとも限らない。

銀行やSNSから個人情報が流出する事件は後を絶たない。個人情報を管理する権限はユーザー自身が持つべきだと、多くの人が考え始めている。

心配すべきなのは、メールの文面といったネット上のやりとりの中身だけではない。やりとりに不随するメタデータからも、私たちの行動パターンは読み取れる(メールでいえば、発信元や送信先の情報などがメタデータ)。メールと決済のメタデータをたどるだけで、その人の宗教から政治的信条、健康状態や交友関係までが分かってしまう。

そんなデータ乱用の防止策として期待されるのが、ブロックチェーンだ。

ブロックチェーンは、グーグルやフェイスブックのような企業のサーバーが管理しているわけではなく、分散型のネットワークだ。チェーン内の全ての情報にアクセスできる組織は存在しない。他人のメタデータを追跡して広告会社に売ったり、政府に渡したりすることもできない。SFドラマが描くダークな未来社会のように、個人情報を基に人々が格付けされることもない。

グーグルやフェイスブックの代わりにブロックチェーンを利用したサービスに乗り換えれば、個人情報を悪用される危険は大幅に減る。ブロックチェーンはメッセージのやりとりや買い物だけでなく、契約や資産管理にも使える。ただし広く普及するには技術の進化が必要だ。クレジットカードのように瞬時に決済ができて、プライバシーを守る暗号機能が充実し、数十億の利用者に対応できる──。

そんなプラットフォームが構築され、多くの人々が利用するようになれば、個人情報は莫大な恩恵を受けるだろう。

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<2018年12月4日号掲載>

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