金、資産、ステータスに対する考え方の違い

ルーシーがクライアントの結婚式で出会う独身男ハリー(ペドロ・パスカル)は、プライベートエクイティ投資家の大富豪。宮殿のようなマンションに住み、その値段をずばり聞いたルーシーに「1200万ドル」と答える。

一方、ルーシーの元彼のジョン(クリス・エバンス)は、狭いアパートをルームメイト2人とシェアしている。車はあるが金はなく、駐車料金が高いマンハッタンでは車を止めるのにも躊躇する。ケータリングのウエーターをしながら俳優を目指していて、収入も自己肯定感もどん底だ。

ジョンがドリンクを給仕する結婚式でルーシーとハリーが急接近するところから、三角関係がスタート。ルーシーの飲み物の好みを覚えているジョンの恋心が切ない。

3人の関係はソン監督の前作を連想させる。2023年の『パスト ライブス/再会』では、アメリカに移住して幸せな結婚生活を送る韓国人のヒロインが、ソウルから突然訪ねてきた初恋の人と白人の夫との間で揺れ動いた。

もっとも『パスト ライブス』では国籍、言語、文化の違いが3人の関係を複雑にしたのに対し、『マテリアリスト』では金、資産、ステータスに対する考え方の違いが関係に緊張感をもたらす。

ルーシーはクライアントにも、高級レストランで毎回勘定を持つハリーにも、結婚は太古の昔から条件ありきの契約だったと力説する。

職場では、結婚を希望するクライアントの「スペック」をチェックリストで査定(女は美貌、若さ、愛嬌。男は身長、容姿、経済力)。自分の恋愛もシビアな計算を基に決めていると言い放つ。

恋愛の本質は石器時代から変わっていない