トランプ米政権は、1月に軍事力を行使してベネズエラのマドゥロ大統領を拘束し、排除した後、今度は共産党が支配するキューバへの圧力を強めている。

ベネズエラはキューバの主要な支援国だったが、キューバが「ベネズエラ2.0」にはならない可能性がある。理由は次の通りだ。

後継者の不在

ベネズエラでは、1月3日の電撃的な急襲で米軍がマドゥロ氏を拘束した後、当時のデルシー・ロドリゲス副大統領が実権を握り、現在は暫定大統領を務めている。

マドゥロ氏の次席にはロドリゲス氏がいたが、キューバのディアスカネル大統領には同じような人物は存在しない。キューバへの圧力を強めるために米国が刑事訴追した94歳のラウル・カストロ元国家評議会議長にも、代わりとなる人物はいない。

ノーステキサス大学の米国・中南米関係専門家、オーランド・ペレス氏は「キューバの治安機構は、あらゆる代替的な、あるいは代替となり得る権力の源泉を組織的に解体してきた」と指摘する。

さらにベネズエラには、ノーベル平和賞受賞者のマリア・コリナ・マチャドという人気のある野党指導者がいる。彼女の率いる野党は、マドゥロ氏が不正を働いたとされる2024年の大統領選挙で正当な勝者と広く見なされており、マチャド氏自身、自由な選挙のために今年帰国することを望んでいる。だがキューバにはそのような人物も見当たらない。

カストロ元議長の孫、ラウル・ロドリゲス・カストロ氏は今月、首都ハバナで米中央情報局(CIA)のラトクリフ長官と会談し、米国への協力に同意するのではないかとの憶測が浮上した。ただ、彼はキューバ政府内で正式な役職には就いておらず、カストロ一族を裏切るとも考えられていない。同氏は22日、祖父の訴追に抗議するためにハバナで行われた集会に出席した。

メリットとリスク