文章とただ向き合う時間は、孤独ではない。あの絶望の時期に僕を繋ぎ止めたもの

そしてもう一つ、わたしが書くことを辞めない理由は読むことを辞めたくないからだと思います。わたしは読むのが好きです。小説もエッセイも批評もブログも興味のあるものはなんだって読みたい。小学二年生のとき、分厚いハリー・ポッターの単行本を夢中で読み進めて、最後のページを捲り終えた感動を今でも忘れません。それからは太宰治を読み、東野圭吾を読み、小川洋子を読み、田中慎弥を読み、挙げようと思えば数限りない人たちの本を読んできました。

芸人として働く前からお笑いも好きでした。色々な人のネタを観に寄席やライブに行ったり、バラエティ番組も見てきました。アニメや映画、ラジオなど他にも娯楽はありました。しかし娯楽は沢山あれど、自分を救ってくれたのは読書です。

わたしは一浪して入った大学を中退しました。一度退学したのちに再入学して、再退学したので二度退学しています。面汚しならぬ履歴書汚しです。不真面目な自分の責任とはいえ、最初の退学後は心が不安定でした。鬱っぽくなって気力が湧かない。友人といるときは明るくいられるけれど、一人だと気分が塞ぐ。そんなときにお笑いや映画などの映像作品は身体が受け付けなかった。芸人や俳優、タレントを見ると、うだつの上がらない自分と彼らを無意識に比べて惨めになる。

でも本だけは読めました。本だけは他人が介在しないからだと今になって分かります。誰かが書いているとはいえ、読んでいるときにその誰かは姿を隠したまま。文章とただ向き合う時間は一人でありながら、孤独ではない。そんな感覚がありました。

あなたはなぜ書くのか?
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