高級品や秘密資金の提供を受けた疑惑
ワンは事件が公になった日に市議会を辞職し、市長職を退いた。最高刑は10年の禁錮だが、アルカディア市当局は、市の公金や意思決定への影響はなかったと説明している。
この事件の3カ月前、ニューヨーク連邦地裁は、元CIA朝鮮半島分析官スミ・テリーによるFARA起訴却下の申し立てを退けた。テリーはホワイトハウス国家安全保障会議、国家情報会議でも勤務した元高官である。起訴状によると、退官後に韓国情報機関員の指示を受け、韓国政府の政策的立場を擁護し、未公開の米政府情報を提供したほか、米韓当局者の面会を仲介したとされる。
その見返りとして、高級品や、自身が管理する政策プログラムへの3万7000ドル以上の秘密資金提供を受けたと検察は主張している。弁護側は、韓国は米国の同盟国であり、不当に狙い撃ちされたと反論したが、裁判所は審理継続を認めた。現段階では、事実関係はあくまで容疑である。
ワン事件とテリー事件は、現在の米国における外国影響力対策が、いかに広範な対象に及んでいるかを示している。一方は中国に関係する地方政治家、もう一方は韓国に関係する元国家安全保障高官だ。敵対国か同盟国かを問わず、外国政府との直接的な指示関係や秘密裏の代理活動が疑われる場合、米司法省はFARAや第951条を適用する姿勢を示している。
これは日本にとっても他人事ではない。インテリジェンス制度改革に着手している日本政府は、スパイ対策の一つの手段として、米国のFARAを参考にすべきであるとの意見も出ている。
しかし、FARAは単純なモデルではなく、警告でもある。FARAは1938年、米国内で活動するナチスの宣伝ネットワークを可視化するために制定された。目的は活動の禁止ではなく、開示である。
外国の依頼主の代理人は、司法省への登録、情報資料への表示、定期報告、収入・支出の開示を義務づけられる。外国の依頼主の定義は広く、外国政府、政党、個人、企業、またそれらに支配・支援される団体まで含む。