5月14日、15日に北京で開かれた中国の習近平(シー・チンピン)国家主席とドナルド・トランプ米大統領の首脳会談には、2つの見方がある。
1つ目は今の世界における最も強力な指導者同士の会談という見方だ。習とトランプが中国で顔を合わせるのは今回で2回目。鳴り物入りの会談の雰囲気からも、こうした見方をしたくなるだろう。2つ目は彼らの姿をした国家間の交渉という見方だ。こちらのほうが分析は難しいが、より重要でもある。
この2国がたどっている対照的な軌道についてのナラティブ(物語)は、しばしば表層的でミスリーディングだ。トランプのアメリカは今や衰退の一途をたどる過去のリーダーと見なされがち。一方の中国は確固たる目的意識の下、進歩へと突き進む未来のリーダーと目されることが多い。少なくとも政府の公式発言を聞く限り、中国の指導部もそんなふうに自負しているようだ。
だが米中いずれも、現実はそう単純ではない。トランプと習が率いるのは、強大な力を誇る一方で、途方もない脆弱性を抱えた体制だ。米中双方とも今後の命運はそう簡単には占えない状況にある。
それでいながら、両国の指導層は概(おおむ)ね、自国の国民と体制は国家間の競争に有利だと思い込んでいる。この安易な思い込みには大きな危険性が潜んでいる。特に2期目のトランプは自信過剰と大言壮語の危うさを見せつけてきた。彼も側近たちも世界を単純な図式で捉え、一見すると向かうところ敵なしの自国のパワーの限界を認識していないようだ。
軍事大国化に潜む危うい内情
ここまでは、米中それぞれが抱える「見えにくい弱さ」について見てきた。だが本稿の核心は、その先にある。
後半では、中国のEV産業が抱える構造問題、トランプ再登場で急速に失われるアメリカのソフトパワー、そして「世界がもはや米中に従わなくなりつつある理由」を掘り下げる。
超大国同士の覇権争いが激しくなる一方で、実際には“世界の重心”は静かに分散し始めている──。
記事の続きはメディアプラットフォーム「note」のニューズウィーク日本版公式アカウントで公開しています。
【note限定公開記事】世界はもうアメリカにも中国にも従わない
ニューズウィーク日本版「note」公式アカウント開設のお知らせ
公式サイトで日々公開している無料記事とは異なり、noteでは定期購読会員向けにより選び抜いた国際記事を安定して、継続的に届けていく仕組みを整えています。翻訳記事についても、速報性よりも「読んで深く理解できること」に重きを置いたラインナップを選定。一人でも多くの方に、時間をかけて読む価値のある国際情報を、信頼できる形でお届けしたいと考えています。