Yoruk Bahceli Alun John

[ロンドン 15日 ロイター] - アリアンツ・グローバル・インベスターズは英国債に対して強気な姿勢を維持しており、ロイヤル・ロンドンは買い増しを行っている。英国債の主要な買い手たちが期待しているのは、2022年に起きた市場の混乱、いわゆる「トラス・ショック」の記憶が、誰が次の首相になってもその財政的野心を抑制するという構図だ。

先週の統一地方選挙で与党労働党が惨敗し、スターマー首相の進退問題が浮上して以来、英国債市場は動揺を続けている。

15日には、10年債利回りが過去1年余りで最大の上昇幅を記録し、08年以来の高水準になった。マンチェスター市長のアンディ・バーナム氏がスターマー氏に挑戦する道が開かれたことで、より左派的な新しいリーダーが支出を増やすとの懸念が強まったためだ。

バーナム氏は昨年、英国は「債券市場の言いなり」になることから脱却する必要があると述べ、投資家の反感を誘った。同氏は、借り入れを制限する財政ルールから防衛費を外して増額できる可能性を示唆したほか、低所得者向けの減税と所得税の最高税率引き上げを望んでいる。

しかし投資家側は、22年に英国債の暴落が当時のトラス首相(保守党)を2カ月足らずで辞任に追い込んだように、国債市場に痛みが走る可能性は、いかなる新リーダーにも制約を課すと主張する。

5910億ユーロ(6880億ドル)を運用するアリアンツ・グローバル・インベスターズの主席ポートフォリオマネジャー、ランジブ・マン氏は「英国はこの(緊縮的な)財政政策の姿勢を維持できるかどうか、市場によって絶えず試されることになる」と述べた。

30年ゾーンで米国債より英国債を好ましいとするポジションを持つマン氏は「それが引き続きわれわれの見解の中核だ」と説明する。

英国は低迷する成長と根強いインフレに加え、逼迫した財政がイランでの戦争によるエネルギー価格のショックを通じて新たな課題を突き付けられており、国債利回りは主要国の中で最も高い。

それでもロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントの金利・キャッシュ部門責任者を務めるクレイグ・インチズ氏は、現在の利回り水準が持続する可能性は低いとの判断に基づき、英国債を購入したと明かした。利回りが低下すれば、債券価格は上昇する。

インチズ氏は「財政的余地と債務残高の両面から見て、市場が現在織り込んでいる内容は長期的には持続不可能と思われるため、英国債のポジションを増やした」と話す。

バーナム氏については「発言において非常に債券市場に配慮する必要があるだろう。さもなければ、バーナム氏が首相官邸に入る前に英国の財政余地は消滅してしまう。債券市場の『言いなり』になるのは、同氏が首相になれるチャンスの方になるだろう」とみている。

ジュピター・ファンド・マネジメントの債券投資マネジャー、アリエル・ベザレル氏は、4月に一部英国債へのエクスポージャーを削減したが、高利回りと潜在的な首相候補たちの慎重な姿勢を踏まえ、依然として短・中期債を「かなりの」額保有していると述べた。

ベザレル氏によると「『債券自警団』が、英政府が財政計画でやり過ぎないよう目を光らせることになると思う」という。

バーナム氏は、昨年の自身のコメントは債券市場を無視すべきだと考えているという意味ではなく、成長を促進する政策が公的コストを削減するだろうという意味だったと説明している。

英紙フィナンシャル・タイムズが3月に報じたところでは、労働党のいわゆる「ソフト左派」とみなされているもう一人の首相候補、アンジェラ・レイナー元副首相は、投資家との電話会議で公的財政に関して安心させるメッセージを伝えた。

米国系銀行のシニアトレーダーは、投資家は買い時をうかがっており、英国債への関心が高まっているのを感じていると述べた。

欧州最大の資産運用会社アムンディの投資研究所所長モニカ・デフェンド氏は、30年債利回りが現在の約5.8%から6%に上昇すれば、魅力的な水準になると指摘。「左派の労働党リーダーであっても赤字を増やすことは望まないだろう」と語り、支出とともに税金も上がることになるとくぎを刺した。

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