※本書は趙海成・著『河川敷の『原住民』――令和ホームレスの実像』扶桑社新書より一部を抜粋・編集したものです(後編)。
※前編はこちら:スマホも使いこなす40代男性ホームレスが、突然「生活保護」を申請した意外な理由
「生活保護」は、まだ若い彼にとって自立した生活へのステップ
考えてみれば理解できないわけではない。
宇海くん(仮名)はホームレスの中では比較的若く、まだ自分の夢を追い求められる。現在の生活に興味を失った以上、環境を変えることは彼の今後の発展に積極的な役割を果たすだろう。まして国がすでに彼に生きる道を示しているのではないか。
彼より年上で体が弱いホームレスたちにとって、生活保護の申請と福祉施設への入居は人生の最後の拠り所となるかもしれない。しかし宇海くんにとって、それはホームレス生活をやめて自立した人生を実現するためのステップに過ぎない。
もちろんこれも政府が当初この福祉制度を設けた目的の一つである(生活保護における「3つの自立」、日常生活自立、社会生活自立、経済的自立)。宇海くんは現在、まさにこの目標に向かって進んでいるところだ。
午後2時、予定通り施設の支援員が宇海くんを迎えに来た。車ではなく、施設には歩いて行けばいい、15分しかかからないと言った。歩いて行くなら私も同行できるので安心した。
支援員が来たとき、小さなハプニングがあった。支援員が宇海くんと私を見ると、まず私に話しかけたのだ。明らかに彼は私を施設に入居するホームレスだと思っている。
それもそのはず、私は宇海くんより約30歳年上なのだ。70代の人が40代の人を施設に送ってくるはずがない。
でも、私はすぐに事情を説明した。私は宇海くんの友人で、彼の荷物を運ぶ手伝いに来たのだと。支援員はそれを聞いて少し驚いたようだが、特に質問もせず、私たちを連れて施設に向かった。
私たちと一緒に行く70歳ぐらいの老人がいた。彼はスーツケースを引っ張って、よろよろと私たちの後ろについてきた。