<騙す側と騙される側の境界を攪乱しながら、観る側もプロットに巻き込む展開が魅力>

スマホを媒介にした多くの詐欺が、いつの間にかとても身近になっている。フィッシングやサポート詐欺、自動音声を使った(NTTや警察に成り済ます)詐欺やワンクリック詐欺など、一通りは体験した。

ただし被害はない。騙(だま)されかけたことは何度かあるけれど(大阪府警捜査官を名乗る男から電話が来たときは危なかった)、ぎりぎりのところで回避してきた。

詐欺は昔からある。おそらくだけど、人類の歴史とともにあっただろう。でもデジタル社会がこれほどに進展することで、かつてないほどに身近な存在になってしまった。その標的は常に一般市民。どちらかといえば弱者。でも、その構図からはみ出す詐欺もある。

本作のタイトル『スティング』のそもそもの意味は「刺す」だが、「騙す」を意味するスラングでもある。

監督は名匠ジョージ・ロイ・ヒル。そしてメインキャストは、『明日に向って撃て!』でコンビを組んだポール・ニューマンとロバート・レッドフォード。この2人にまんまと騙されるギャングのボスは名優ロバート・ショーだ。

ただしもちろん、この映画の魅力はキャストや監督だけではない。

ラストの展開に思わず声を上げた