<米ドルが基軸通貨であり続けたのは原油と密接にリンクしていたからこそ…アメリカが自らの軍事作戦でドル覇権崩壊を招く皮肉>
中東情勢の悪化によって、アメリカのパワーの源泉でもあったドル覇権が崩れるリスクが高まっている。自らの軍事作戦によって通貨価値を危うくしているというのは皮肉な話だが、世界が多極化し、複数通貨が並立する時代は意外と早くやってくるかもしれない。
3月下旬にドイツ銀行が公表した「中東情勢の悪化がペトロダラー体制にとって正念場になり得る」というリポートが国際金融市場で話題となっている。ペトロダラーというのはあまり聞き慣れない言葉かもしれないが、米ドルと石油がリンクすることでドルの価値が維持される状態のことを指す。
ドルは世界の基軸通貨として圧倒的な地位を保っており、多くの貿易がドルで決済されるほか、ドル以外の通貨であっても、両替の際などには一旦、ドルを経由することが多い。自国通貨が基軸通貨であることは、核兵器保有に匹敵する効果をもたらすともいわれる。
かつてアメリカ政府が北朝鮮に制裁を加える際、自国の銀行に対して、北朝鮮と関係の深いマカオのバンコ・デルタ・アジア銀行との取引停止を要請しただけで、同銀行は事実上の業務停止に追い込まれた。
アメリカ政府がなぜ他国の銀行業務をいとも簡単に妨害できるのかという秘密を解くカギは基軸通貨にある。先ほども説明したように世界の金融取引の多くがドルで行われており、ドルを扱う米銀と取引できなければ、各国の銀行は国際業務を実施できなくなる。つまり基軸通貨を持っていれば、指一本触れずに他国の金融システムを破壊することも不可能ではないのだ。