William Schomberg David Milliken Suban Abdulla

[ロンドン 30日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は30日、政策金利を据え置くとともに、イラン戦争が経済に与える影響に関するシナリオを提示、最悪のシナリオでは「強力な」金利引き上げが必要となる可能性がある。

金融政策委員会(MPC)は8対1で政策金利の3.75%への据え置きを決定、チーフエコノミストのヒュー・ピル理事は4.0%への利上げを主張した。これはロイター調査によるエコノミスト予想と一致した。

MPCは中東情勢を引き続き注視していくとした。市場は慎重な反応を示し、英ポンドは米ドルやユーロに対してほぼ横ばい。中銀の金融政策の動向に敏感な英2年債利回りは5ベーシスポイント(bp)程度低下した。

JPモルガン・パーソナル・インベスティングの投資ストラテジスト、スコット・ガードナー氏は、急速に変化する可能性がある戦争の状況を見極めるための時間をMPCは確保したと指摘。「政策当局者は後手に回ったり、短期的な価格ショックに過剰反応したり先回りしたりすることを警戒している。不確実性が高い状況下では、時間を稼ぐことが現時点での選択肢だ」と述べた。

MPCは、エネルギー価格ショックによる賃上げ要求や価格転嫁など「実質的な二次的影響」のリスクがある一方、雇用情勢の悪化や金融市場での借り入れコストの上昇がインフレを抑制するとの見方を示した。

声明では「消費者物価指数(CPI)上昇率が中期的に2%目標に向かう軌道を維持するため、委員会は必要な行動を取る用意がある」とし、前回3月会合の文言を繰り返した。

英国は天然ガスへの依存度が高いため、エネルギー価格の急騰に対して脆弱と見られている。先週発表された統計によると、企業の投入コストが上昇、今後12カ月間の価格上昇に対する企業予想が過去最高のペースになっていることが示された。

一方で、戦争による経済成長への打撃を懸念する声もある。

<戦争の影響シナリオ>

戦争の長期化や経済的影響の規模を巡り不確実性が深まる中、中銀はインフレ率など主要経済指標の中心的予測の公表を見送った。

代わりに、エネルギー価格と二次的影響の度合いに応じた3つのシナリオを提示した。

最も深刻なシナリオCでは、エネルギー価格の高止まりが長期化し、インフレ率が2027年初めに6.2%(直近の数値のほぼ2倍)でピークを迎え、現在の市場の金利見通しに基づくと今後3年間にわたり2%目標を上回り続ける可能性があると指摘。中銀はこうしたリスクが現実となれば「強力な金融引き締めが正当化される公算が大きい」とした。

一方、シナリオAとBでは「引き締め度が緩やかな政策スタンス」が必要となり、戦争開始以降の市場金利上昇がインフレ圧力の一部を相殺する効果があるとした。

これらのシナリオは4月22日までの15日間の市場価格に基づいたもので、戦争の長期化への懸念が再燃して30日に約4年ぶりの高値を付けた今週の原油価格の急騰は織り込まれていない。

中銀のベイリー総裁は、シナリオBを最も重視しているとした上で「ただし二次的影響はやや低減される」と説明。シナリオCについても「一定程度の重み」を置いていると述べた。

据え置きに賛成した他の委員のうち半数程度もシナリオBをより重視しているという。

英中銀によると、一部のMPC委員はインフレ率が高止まりするリスクを未然に防ぐため「早期の措置を好む可能性」がある一方で、他の委員はそうしたリスクが具体化する一段の証拠を待つのが好ましいとしている。

ベイリー総裁は今月、ロイターのインタビューで、戦争の長期化や影響を巡る不確実性を踏まえると、年内の利上げを織り込む投資家の見方は時期尚早だと述べていた。

30日の発表前、市場では年内に0.25%ポイントの利上げがほぼ3回行われると織り込んでいた。

英経済は、ガス価格高騰の影響を大きく受けるのに加え、政治面での懸念も抱えている。スターマー首相が首相の座を維持するのに苦慮しており、政府の財政計画への疑問が浮上している。英国債利回りは主要7カ国(G7)の中で最も高い水準にある。

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