Jana Winter Gram Slattery Humeyra Pamuk
[ワシントン 26日 ロイター] - 米首都ワシントンで25日夜に開かれたホワイトハウス記者会の夕食会で発生した発砲事件を受け、当局は大統領周辺の警備態勢の見直しを進めている。トランプ大統領や閣僚、議員らが出席するイベントに容疑者がなぜここまで接近できたのか、疑問が広がっている。
大統領警護隊(シークレットサービス)の元隊員2人と政府高官3人が26日、ロイターに語ったところによると、容疑者は会場のワシントン・ヒルトンホテルの地下階に到達する前に阻止され、大統領警護の計画は効果的に機能したとみられる。
ただ、2024年の大統領選キャンペーン中にトランプ氏に対する暗殺未遂事件が2度も発生し、大統領警備がすでに強化されていたにもかかわらず、シークレットサービス隊員に向けて発砲された銃声が一部出席者にも聞こえたことは警備の脆弱性を浮き彫りにしたとの声もある。
シークレットサービスはロイターのコメント要請にすぐには応じなかった。
複数の当局者は、トランプ氏が集会に参加する場合の警備エリアは、25日夜に設けられたものよりもはるかに広範囲に及ぶことが多いと指摘する。
この日の夕食会では、来場者は入場前に金属探知機を通る必要があったが、ホテル自体にはチケットがあれば出入りできた。イベント計画に直接関わった関係者によると、前年のチケットで入場を試みた者も数人いたという。さらに、逮捕された容疑者の男は会場のホテル宿泊客で、イベントの数日前にチェックインすることで、この手続きも回避していたとみられる。
<警備範囲の拡大>
シークレットサービスに6年間勤務し、現在はセーフヘイブン・セキュリティー・グループの警護担当ディレクターを務めるビル・ゲージ氏は、事件の検証では金属探知機をより遠くに設置することが論点の一つになるだろうと述べた。
シークレットサービスが「宿泊客やホテル側に不便をかける可能性はあるが、大規模ホテルの警備を強化する手段を見つける必要がある」と指摘。さらに、政権幹部の避難についても、より調整を進めるべきだと述べた。
今回の事件では、連邦保安官局や外交保安局など複数機関が出席者を急いで避難させた。これは、要人警護を担う組織の複雑な構造がばらばらの対応につながりかねないことを示している。
ロイターが会場の映像と音声を分析したところ、トランプ氏は最後の発砲音から30秒余りで壇上から避難。一方、ケネディ厚生長官が会場を退出するには少なくとも100秒、ルビオ国務長官とヘグセス国防長官は約150秒を要した。
過去にホワイトハウス記者会の夕食会でワシントン・ヒルトンホテルの警備に従事した元シークレットサービス上級隊員のドン・ミハレク氏は、広大な会場の警備は以前から課題だったとし、「今回の事件を踏まえて、警備の境界をさらに外側に押し広げることになるだろう」と述べた。
<容疑者自身も手薄さ指摘>
警備態勢が手薄だったことは容疑者自身も指摘していた。ニューヨーク・ポストによると、カリフォルニア州在住のコール・トーマス・アレン容疑者(31)は犯行前に家族へのメッセージで「(ホテルには)防犯カメラが曲がり角ごとに、ホテルの部屋には盗聴器、3メートルおきに武装した隊員、金属探知機もあらゆるところにあると思っていた」とし、「実際には(もしかしたら自分をだましているのかもしれないが)何もなかった」と記していた。