さらに、今回、筆者のまわりの投資家と話をしてよく耳にしたことは、「マスコミにこうした記事が出てきて、投資家の関心が集まる時点が経験則的には絶好の買い場」だという意見でした。

日本人はトルコリラ投資ではすでに大損しているので、そういったことが強調されればされるほど「もう底だ」と感覚的に判断してしまったのかもしれません。経験則や規則性を表面的、感覚的にとらえてしまい、短絡的に自信を持って底打ちだと判断してしてはいけないということを今回のトルコリラ暴落は教えてくれています。

トルコリラの「底打ち判断」はそう簡単ではない

ではトルコリラが底打ちする局面をどのように判断していけばいいのでしょうか?

たとえば、今までトルコリラの下落をもたらした要因とは逆の、信憑性の高い情報が市場に出回ることが挙げられます。

具体的には、アメリカとトルコの関係改善、IMF(国際通貨基金)によるトルコへの一定の支援、あるいはエルドアン大統領が強権的な政治を改める、などのようなニュースが出ればトルコリラの底打ちのきっかけの1つになってくるかもしれません。しかし現時点では、まだ底打ちのきっかけになりそうなニュースは出ていませんし、何か1つ良いニュースが出たからといって、あわてて無理にトルコリラ投資に走る必要はありません。

行動ファイナンスの視点からすると、自信過剰なあるいは無謀な投資家の考え方や行動はこうなりがちです。

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【1】「トルコリラはさすがにここからは上がるだろう」「いや、そろそろ絶対上がるはずだ」との自信過剰から、トルコ買いに走る。

【2】さらなるリラ安が進み「おかしいな」と徐々に不安になるが「でも一時的な下落だろう。そろそろ下げ止まるだろう」と気持ちを落ち着ける。その後の下落過程では「ここが勝負時だ」と損失を取り戻そうと、ポジションを拡大する。

【3】一か八かの賭けにでたはいいが、さらに急落。「これ以上、下がらないでくれ」と天に祈り、「いや、もう下がらないはずだ」と根拠なき願望を持つようになる。

【4】そして相場はさらに下落。さらなる損失の拡大の恐怖と苦痛に耐えきれなくなり、現実逃避から安値ですべてを売却してしまう。

4のような心理状態におかれた投資が増える局面を「セリングクライマックス」と言いますが、こうしたセリングクライマックスが起こる時点は1つの底打ちのタイミングになってくるかもしれません。トルコリラ投資だけに限らず1→4までの「悪循環」に陥らないよう、ぜひ注意してください。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
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