スタートアップには、とにかく新しいことをやって失敗しまくっても、むしろそれを褒めるようなカルチャーがあります。チャレンジのための新しいミスは許容されているからです。でも、繰り返しのミスはダメです。1回間違えたら学習する。

AIのような新しいものを取り込んでいく際には、こういうマインドセットのほうがいいでしょうね。

──書籍では、現場にある暗黙知が「アフターAI」の時代で大事になってくるということが書かれていました。AIエージェントの進化で、ビジネスパーソンたちがマネジメント側に回っていくと、さらに現場との距離が生まれてしまうということも大いにあり得ます。そのなかで、リアルな現場の経験を大事にしつづけるためには、どのような姿勢で行動していくとよいのでしょうか。

まず、それぞれの社員が100のAIエージェントを部下に持つなら、組織の階層(レイヤー)を減らしたほうがいいでしょう。そのうえで、基本的なタスクのほとんどをAIに任せて、現場に行く時間を捻出していくことが大事です。

私は「ミーティングをサボる名人」なんです。ミーティングのサマリーはAIエージェントに送ってもらえますから。議論が中心のミーティングには行ったほうがいいと思いますが、意思決定に必要な情報収集という意味では、議事録や資料で足りることがほとんどです。

その代わり、現場に足を運んで、会社のフォーマルなレポートには入らないような、フィルターのかかっていない一次データを集める。マネジメントの時間の使い方としてはよほど価値のあることです。

AI時代において、一次データを持っている人は一番強い。もちろん完璧に全部を取れはしませんが、そうした姿勢、考え方を持っているだけでも違ってきます。経営的な意思決定のスピードを上げられますし、現場からチャンスを拾い集められるので、競争力の向上につながっていくのです。

一次情報を取りに行くことが大事
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