<侵攻開始から5年目に突入。東部の主要都市には、短い逢瀬のために長い道のりを越えてきた家族や恋人たちの姿が──>

ウクライナ東部の主要都市クラマトルスク。この街で車に乗るとき、シートベルトを締めるのはご法度だ。なにしろここは、ロシアとの激しい攻防が続くドネツク州の要衝で、敵のFPV(一人称視点)ドローンがいつ飛んできてもおかしくない。

イリーナ・ニコライチュクの夫ウォロディミルも、駅から街の中心部へ向かうタクシーの中で、シートベルトを締めようとする妻を制した。「ここではやめておけ」。

よく晴れた日だった。シートベルトを締めれば、車がドローンに狙われたとき、とっさの脱出が難しくなる。今や首都キーウにもロシアのドローンは飛んでくるが、「ここはレベルが違う」とイリーナは思ったと言う。

イリーナとウォロディミルが結婚したのは2022年2月22日。その2日後、ロシアはウクライナに対する全面侵攻を開始した。そして25年5月、ウォロディミルはキーウに妻と2歳の娘を残して入隊した。

現在、ウォロディミルはウクライナ国境警備隊のドローン連隊フェニックスに属している。だからイリーナは数週間に1度、列車でクラマトルスクまで来て、夫と数日を過ごす。

クラマトルスクは長年、ウクライナ東部防衛の要の1つとなってきた。米シンクタンクの戦争研究所(ISW)によれば、最も近いロシア軍の拠点までの距離はわずか15キロ。それでも、ロシア軍がそこまで約30キロ進むのに約4年の歳月を要した。

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