
夜中に爆発音を耳にするのは、今やウクライナの都市では珍しいことではない。だが、イリーナが感じたように、クラマトルスクはレベルが違う。市街地にドローンが急降下してきたり、近くで起きた爆発の衝撃で家のドアが閉まったりする。
そんなぞっとするような音をBGMに、兵士たちは恋人やパートナーとクラマトルスク中心街のレストランで寿司を食べたり、屋外で太陽の光を浴びながら温かい飲み物を口にする。
多くの兵士が行き交うこの街では、酒類の提供は禁止されている。また、夜間の外出禁止令はウクライナのどの街よりも長時間に及ぶ。ローソクは恋人たちのロマンチックな夜を演出するだけでなく、電力供給が不安定な前線の街での現実的な手段でもある。
「みんなジュースやお茶を飲んでいて、酒類はない」と、レーシャ・オロベツ元下院議員は語る。クラマトルスクには戦争前に訪れたことがあったが、現在はひどく破壊されて、同じ街には見えないと言う。
何より大きな被害を受けたのは、22年4月のクラマトルスク駅爆撃だと彼女は言う。ロシアの侵攻開始から間もない時期で、駅は西部に避難しようとする市民約4000人でごった返していた。
そこにロシア軍のミサイルが撃ち込まれ、61人が死亡し、120人以上が負傷した。駅の正面玄関前に止めてあった車は焼け焦げてひしゃげ、街の名物だった駅前の美しい芝生には、ミサイルの残骸が散乱した。

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