米小売大手ウォルマート・ストアーズが、医療保険ヒューマナとの関係強化について初期段階の協議に入ったと伝えられた。大手スーパーの医療センター化という、新たな領域に踏み込むことになりそうだ。

電子商取大手アマゾン・ドット・コムに押されるウォルマートとしては、これをテコに全米4700カ所の実店舗での販売を増やす狙いもある。医療センター化すれば65歳以上の層の集客力向上が見込める。

サイズモア・キャピタル・マネジメントの創業者チャールズ・サイズモア氏は「最終目標は、より多くの客を店舗に呼び込んで医薬品を買ってもらい、ついでにほかの買い物も増やしてもらうことだ」と話す。ウォルマートが基本的な医療ケアその他のヘルスケア・サービスを「競争力のある価格」で提供できれば、客足が増える可能性があるという。

関係筋2人が3月29日、ロイターに明らかにしたところでは、ウォルマートは今月ヒューマナに関係強化を持ちかけて協議に入っており、ヒューマナの買収も選択肢に入っている。

連携が深まれば、ウォルマートはヒューマナの持つ患者名簿を利用したり、店舗内に診療所を設置することが可能になる。

小売りと医療保険の統合は今回が初めてではない。先に米ドラッグストア大手CVSヘルスは米医療保険大手エトナの買収で合意した。

アマゾンに対抗

マーケティング・コンサルタント会社ストラテジック・リソース・グループのバート・フリッキンジャー氏は、ヒューマナと組むことでウォルマートは「アマゾンを追い込み、CVSと(小売り大手)ターゲット連合、そしてCVSとエトナ連合に対抗し、凌駕するための手数が増える」と言う。

リーリンク・パートナーズのシニア医療アナリスト、アナ・グプテ氏によると、ヒューマナの顧客のうち処方箋薬給付を受けている高齢者は510万人、全面的な医療給付を受けている人は350万人に上る。

また、ヒューマナは既に、医師の診療所に併設する医薬品店を50店舗ほど保有しており、ウォルマートの不動産と医薬品店を活用してこのモデルをさらに広げることが可能だ。ウォルマートは「高齢者のワンストップ・ショップになり得る」(グプテ氏)。

データ分析

グローバルデータ・リーテイルのマネジングディレクター、ニール・ソーンダーズ氏によると、膨大な顧客データもウォルマート・ヒューマナ連合の魅力で「小売店の強みは顧客を知り抜いていることだ。食習慣やその他の消費パターンを知っており、これは保険の設定に非常に役立つ」という。

また専門家によると、特定の医療を受けていることが分かれば、それに合った商品やサービスを売ることで、顧客との関係を強めることも可能になる。

(Nandita Bose記者 Chris Prentice記者)

[31日 ロイター]
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