<メジャーな娯楽から教養へ――。室町時代の阿国の歌舞伎踊りに起源を持つ日本の古典技能は、時代と共にどのように移り変わり、人々に親しまれてきたのか>
400年以上前に生まれ、今なお、人々の注目を集める日本の総合芸術、歌舞伎。東京・銀座の歌舞伎座が130周年を迎える2018年、歌舞伎界は例年以上に華々しい幕開けとなる。
初代松本白鸚、九代目松本幸四郎、七代目市川染五郎の親子孫同時襲名から37年が経ち、二代目松本白鸚(松本幸四郎改め)、十代目松本幸四郎(市川染五郎改め)、八代目市川染五郎(松本金太郎改め)の襲名披露興行が、1~2月に行われるのだ。
とはいえ、そもそも襲名とは? あの隈取りにはどんな意味がある? 古めかしい演目は難しそう? 歌舞伎役者たちの活躍を見聞きすることはあっても、歌舞伎の基本や"楽しみ方"をきちんと知っている人はどれだけいるだろう。
[語り手]
松井今朝子(作家)
松竹に入社し、歌舞伎の企画・制作に携わる。退社後は故・武智鉄二氏に師事し、歌舞伎の脚色・演出・評論を手がける。現在は小説家として活躍。2007年に『吉原手引草』(幻冬舎刊)で直木賞受賞。
日本独自の芸能である歌舞伎が、時代とともにどのように変わりながら人々に親しまれたのか、作家・松井今朝子さんにお話を伺った。
「歌舞伎というのは『かぶく』という言葉からきています。つまり思いっきり逸脱する者、跳ねっ返りの最たるものが歌舞伎で、最先端を行くものをどんどん吸収して成り立っていた。最初からいまのような型があったわけじゃない。いろんな時代の民意が反映され、洗い流されて現代に残ったのです」