13年1月、当時那覇市長だった翁長雄志現知事を先頭に、沖縄の首長や議会関係者らが「オスプレイ配備反対」のデモを東京・銀座でおこなった。

 その際、沿道に陣取った在特会員を中心とする差別者集団は、デモ隊に向けてあらん限りの罵声をぶつけた。

「売国奴」「国賊」「中国のスパイ」「非国民」──。

 しかしどれだけ沖縄県民が罵られようと、銀座を行きかう人々は、そこから目をそらしていた。いつもと同じように買い物を楽しみ、談笑し、茶を飲み、食事をしていた。これを報じたメディアも沖縄の新聞だけだった。

 日本社会の視界から、沖縄は常に外されてしまうのである。

「人類館はまだ終わっていませんよ。人々の意識の中から」と前出の金城氏は言う。

 差別された側の苦痛は消えない。傷は風化することなく生き続ける。そして新たな差別が露呈するたび、瘡蓋が無理やり剥がされたように、傷口から血があふれ出す。

「土人」発言の主である若い機動隊員が人類館を知っていたかどうかは問題ではない。日本社会の一部で連綿と沖縄への差別と蔑視が続いていることが、そこに無自覚であることが、いま、問われているのである。

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[執筆者] 安田浩一(ジャーナリスト) 1964年静岡県生まれ。『週刊宝石』(光文社)、『サンデー毎日』(毎日新聞社)記者などを経て2001年よりフリーに。著書に『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書 2010)、『ネット私刑』(扶桑社2015)など多数。 2012年『ネットと愛国』(講談社)で日本ジャーナリスト会議賞、講談社ノンフィクション賞を受賞。2015年『G2』(講談社)掲載記事の『外国人隷属労働者』で大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞。6月末に「沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)を刊行