[ブリュッセル 29日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は、多国間条約であるエネルギー憲章条約から、EU加盟国全体が脱退することを提案する準備を整えている。一部の加盟国は既に、気候変動を巡る懸念を理由に同条約から脱退すると表明している。
1998年に発効したエネルギー憲章条約は当初、エネルギー分野への投資を支援する狙いで設計された。エネルギー企業は同条約に基づき、自社の投資を損なう政策を巡り政府を訴えることができる。同条約には現在、EU加盟国を含む約50カ国が参加している。
だが近年、同条約は化石燃料プラントの閉鎖を求める政策に異議を申し立てる根拠として用いられており、一部の加盟国は、同条約が気候変動に対処する上で障害になると懸念している。
欧州委の報道官は、同条約から全EU加盟国が歩調を合わせて脱退する提案を「向こう数週間以内」に策定すると説明。「同条約は現状では、EUの投資方針と法律、およびEUのエネルギーと気候に関する目標と合致していない」と述べた。
事情に詳しい4人の関係者はロイターに、欧州委は来週に提案を策定すると明かした。そのうち3人の話では、欧州委は一部加盟国が同条約にとどまることを認める部分的脱退を検討していたが、法的な懸念を巡り部分的撤退案を撤回した。
EUでは、これまでにデンマーク、フランス、ドイツ、ルクセンブルク、オランダ、ポーランド、スペインの各国が同条約から脱退する方針を表明。これを受けて欧州委には、EU全体の脱退へ向けて導くよう求める圧力が強まっている。イタリアは2016年に脱退した。
しかし全加盟国脱退案は、同条約にとどまる方針を示しているキプロス、ハンガリー、スロバキアの3カ国が反対する公算が大きい。