[東京 10日 ロイター] - 日本製鉄は10日、2024年3月期通期(国際会計基準)について、本業のもうけを示す事業利益が前年比29.1%減の6500億円になるとの見通しを発表した。世界の鉄鋼需要の好転は見込めないとし、さらに原材料高騰の反動による在庫評価損と事業再編損を織り込んだ。
会見した橋本英二社長は、中国において建設資材や車、家電向けが低迷しているとし「需要のピックアップがまだない。もうしばらく時間がかかるだろう」と述べ、影響は今年度の業績に織り込み済みとした。今期は大幅な需要拡大が見込まれるインドへ拡張していくとの方針を示した。
同時に同社は、高炉から電炉への転換に向けて本格的な検討を開始したと発表した。候補地は九州製鉄所八幡地区と瀬戸内製鉄所広畑地区としている。広畑地区では新設した電炉による商業運転を22年10月に始めている。
製鉄業界では二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない電炉への転換が加速しており、JFEホールディングス傘下のJFEスチールも8日、25年下期をめどに千葉地区でアーク式電気炉を導入すると発表している。
日本製鉄は21年3月に、30年までに対13年比でCO2総排出量を30%削減する計画を示している。橋本社長は「2年間でいろいろな内部検証を行った。成果を出すにはこのタイミングで着手しないといけない」と述べた。
同社は無方向性電磁鋼板(モーターの鉄芯などに用いられる電磁銅板)の能力増強に900億円の追加投資を行うことも明らかにした。すでに公表済みの対策を含めた投資額は、累計で2130億円になる。
橋本社長は自動車メーカーの電気自動車(EV)シフトにより、想定以上に需要が増加していることを踏まえ「従来より建設費は上がっているが、十分にペイできる」と述べ、利益が出るとの見通しを示した。
10日の東京株式市場では、同社の株価は商いを伴い大幅に下落し8%超安となった。市場では「JFEの決算で期待が高まっていたがはしごを外された」(国内証券のアナリスト)との声が聞かれた。
JFEホールディングスは24年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比16.8%増の1900億円になりそうだと8日に発表し、9日の株価は14%高となり、日鉄株もつれ高となっていた。
(佐古田麻優)