中国人消費者の「高級」や「こだわり」志向がビールにも波及し、海外ブランドのプレミアムビールが人気を集め、手作りで個性豊かなクラフトビールを提供する小規模醸造業者が中国に新たな商機を見出す動きも広がりつつある。

大手ビール各社にとって、中国は重要な市場だ。昨年は世界全体の出荷の伸びの半分を中国が占めた。ただ、ドイツ銀行のアナリストの試算によると、ビール会社が世界全体で稼いだ利益のうち中国が占める割合はわずか3%で、今後利益を拡大していかなければならない。

ラボバンクで上海を拠点とするアナリスト、キャサリン・ソン氏は「これからはプレミアムビール部門が大事な戦場になる。なぜならこの部門こそが主たる利益のけん引役だからだ」と指摘した。

先週には英SABミラー<SAB.L>が香港上場の華潤ビール<0291.HK>に華潤雪花ビールの株式49%を予想外に低い価格で売り払うと発表した。これはアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)<ABI.BR>が英SABミラー買収について中国当局から承認を得るための資産売却の一環だが、もう1つ重要なポイントはSABミラーが中国でより魅力のあるプレミアムビール事業に専念できるようになったことだ。

中国のビール市場におけるプレミアムビールの割合は2010年に10%足らずにすぎなかったが、2019年末には33%を超えると予想されている。

昨年の中国の消費者による海外高級ビールの輸入額は、60%増加した。

<ステータスシンボル>

こだわりという面では例えば、中国中央部の武漢市でバーを経営するChen Jiaqiさんは、わざわざ飛行機で640キロメートルも離れた上海まで行って、ニュージーランドのクラフトビールを試飲するほどだ。

Chenさんは「ビールの味自体の好みにうるさい中国の顧客はどんどん増えていると思う。あるビールが個性的で希少であるなら、それが選ばれる」と話す。

少量で手をかけて生産するクラフトビールは当然値段が高い。上海でクラフトビールは1びん当たり30元(4.6ドル)前後で、最も安い量産品の10倍を超える。

それでも上海の繁華街にあるクラフトビールのバーで独バイエルン州産のホワイトビールを飲んでいたある看護師の女性は「このビールは特殊でより味わいが深い。余分なお金を払う価値がある」と述べた。

こうした流れを受け、スコットランド・ブリュードッグやニューヨークのブルックリン・ブルワリーといった小規模醸造所が積極的に中国市場に照準を定め始めている。

イングランド北部で「ハンギングストーン」や「ホーリーカウ」などのブランドでクラフトビールを生産しているイルクリー・ブルワリーのディレクター、ルーク・レイベン氏は「中国は近いうちに対応すべき市場のリストに載っている」と語った。

クラフトビールはだれもが好む商品ではないが、その他大勢とは違うところを見せるために積極的にお金を払おうとする中国の消費者の行動は、バドワイザーやハイネケン<HEIN.AS>、日本のアサヒといった大手輸入ブランドの販売も下支えしている。

ユーロモニターの調査によると、昨年の中国のビール市場は全体で7.5%成長したのに対してプレミアムビールの伸びは25%に達した。

中国の消費者がハイネケンやカールスバーグなどのプレミアムビールを選ぶのは、スターバックスでコーヒーを飲むのと同じで一種の「ステータスシンボル」になっているとの声も聞かれた。

(Adam Jourdan記者)

[上海 7日 ロイター]
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