<本日公開の映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』でも描かれる、アメリカを代表する歌手が向き合ってきた「集団的な鬱」とは?──(ネタバレなし・レビュー)>

男とは何か?その言葉は、少年の頃から「男であること」によって傷ついてきた人間にとって、どんな意味を持つのか?「我慢しろ」「強くなれ」「文句を言うな」「泣くな」と言い聞かせられるこの世界で――。

この問いは、子供の頃からずっと頭の中にあった。そして、それはアメリカを代表する内省的なシンガーで、60年にわたって創作を続けてきたブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)もまた、向き合ってきた難問でもある。

スプリングスティーンの喉を震わせるようなソウルフルな声を初めて耳にしたのがいつだったか、あるいはフラナリー・オコナー(Flannery O'Connor)を思わせる語り口に気づいた瞬間や、路上の真実を引き寄せるような彼の磁力に引き込まれた時期がいつだったのか、正確には思い出せない。

だが、映画館の座席に腰を下ろし、1982年リリースの伝説的アルバム『ネブラスカ(Nebraska)』を生み出すまでの彼の葛藤を描いた新作『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ(Deliver Me from Nowhere)』に見入り、強く心を揺さぶられたのは確かだった。

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』予告編

本作が描くのは『Born in the U.S.A.』による大成功の前夜。

Huluのドラマ『ザ・ベア(The Bear)』で知られるジェレミー・アレン・ホワイト(Jeremy Allen White)が、思索に沈み、過去に囚われた若き日のスプリングスティーンを演じる。ホワイトのようなメソッド俳優に理想的な役どころだ。

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