<ヨーロッパには中道右派のリーダーが「足りていない」? 少子化から文化の退廃まで、根源的な理由は同じかもしれない>

中央ヨーロッパの静かな山間部でこの記事を書いている。

風景は牧歌的で、秋の空気は澄んでいる。しかし、近年ヨーロッパを訪れるたびに感じることだが、目に映る光景も、耳にする会話も、どこか同じ不安に彩られている──今から1世紀後、「ヨーロッパ」と呼べるものは、果たして存在しているのだろうか。

ヨーロッパ全域で出生率は急落し、この大陸の文明を2000年にわたって形づくってきたキリスト教は、今や過去の遺物のように扱われている。

EUによる政治的・経済的統合と、主にイスラム圏からの文化をともなう大量移民の受け入れが進む中で、人々の間から「故郷」や「家庭」といった感覚が失われつつある。それとともに、共同体意識や生きがい、人生の目的といったものも薄れている。

イギリスでは、ユダヤ教の暦で最も神聖な日に、シリアからの移民によるシナゴーグ(ユダヤ教会堂)襲撃事件が起き、2人のユダヤ人が殺害された。

ドイツ──そう、あのドイツでは、ユダヤ人が公の場でキッパ(ユダヤ教徒の男性がかぶる帽子)を着用しないよう、すでに数年前から助言されている。

より広く見れば、ヨーロッパでは教会や子供といった伝統的な価値から離れ、国家の福祉制度の規模が大きいほど人々の幸福感が高まるという、不穏な傾向が見られるようになっている。

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ルーブル強盗事件が示すのは「中道右派リーダー」の不在?
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