大谷の「マンダラチャート(編集部注:目標達成のためのフレームワーク)」の話も台湾ではよく知られている。子供の頃から大志を抱き、一心不乱に目標に向かって成長していく姿は、「自分にもこんなに出来の良い息子がいたら」と思わせてしまう。
いくら日台友好がうたわれても、台湾人が日本人の成功を無条件に喜ぶことはまずない。「昔、台湾人も日本人だった」と語る世代は、ほぼ鬼籍に入った。野球という国技のぶつかり合いは、ライバル意識を刺激する。
それでも、台湾における日本の好感度の高さはほかの国の追随を許さない。野球の国際大会でのこれまでの日台の名勝負も、こういった感情があってこそだ。
台湾人から見て、アメリカもしのぐ日本野球の強さの源は真面目、きちょうめん、粘り強さという前述の職人気質に由来する。
台湾人はその環境と歴史から、気楽で無頓着で、時にいいかげんだが機転が利き、臨機応変な民族になった。それはそれでいいが、正反対の職人気質にも憧れる。そして今の日本があるのも、この気質あってこそだと台湾人は信じている。
大谷は台湾人の「あるべき日本人像」に合致しているから、人気になったのだ。
野球選手という職業も、大谷の台湾での人気に大いに関係している。
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