[シドニー 6日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のロウ総裁は6日、8月の理事会で債券買い入れ縮小計画の延期を検討したが見送ったと述べ、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が所得に及ぼす一時的かつ局部的な悪影響には、財政刺激策のほうが「より適切な手段」と判断したと明らかにした。
シドニーからオンラインで議会委員会の証言を行った。総裁は「重要なのは経済見通しだ。われわれは来年に力強い回復を予想している」と述べ、テーパリング(量的緩和の縮小)延期を見送った理由を初めて強調した。
「追加の債券買い入れは、そのときに最大の効果を発揮し、追加支援が最も必要とされる今は非常に小さな効果しか得られないだろう」と語った。
さらに「一時的かつ局部的な所得への打撃に対応した支援には、財政政策がより適切な手段と理事会は認識した」と述べた。
また、経済見通しが悪化すれば、中銀は行動する用意があると表明した。
中銀は3日の理事会で、デルタ変異株を中心とする感染再拡大による経済への影響は一時的との見方から、予定通り債券買い入れの縮小を進める方針を表明。市場では縮小延期が予想されていた。政策金利は過去最低の0.1%に据え置いた。
ロウ総裁は6日、インフレ率は中銀の2─3%の目標レンジを何年も下回り続ける見込みで、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを引き上げる条件は2024年まで満たされることはないとの見方を改めて示した。
豪州最大都市シドニーではロックダウンが長期化しており、ブリスベン、メルボルンを含む他の主要都市も封鎖措置が敷かれた。
この結果、第3・四半期の国内総生産(GDP)がマイナス成長になるとの見方が広がっている。
ロウ総裁は議員からの質問に対し、2四半期連続のマイナス成長で定義されるリセッション(景気後退)に陥る可能性は低いと指摘。新型コロナウイルスワクチンの普及を理由に挙げた。
「今四半期終盤から次の四半期にかけて制限が緩和されることを期待しており、緩和されれば景気回復が始まるはずだ」と説明。「(コロナの)状況が悪化した場合はGDP成長率が2四半期連続でマイナスとなる可能性は否定できないが、現段階でその可能性はかなり低い」と語った。
<経済・インフレ見通し>
豪中銀はこの日公表した金融政策報告の中で、経済成長率について21年は4%、22年は4.25%、23年は2.5%になるとの見通しを示した。
失業率は現在の約5%から22年に4.25%、23年末には4%に低下すると予想した。
ただ、インフレ率については23年半ばまで中銀の目標レンジ(2─3%)を下回り続ける見込みとした。その後は23年末までに2.25%に上向くとしている。
ロウ総裁は議員らに対し、「行動するまでにインフレ動向を見極めたい」と指摘。「インフレ率が2%をやや上回る状況が1、2四半期見られるだけでは十分ではないだろう。目標の範囲内に十分収まっていることを確認し、その水準が維持されるという確信を得たい」とし、それまでは政策金利は0.1%にとどまると述べた。