足の角度を5度または10度変える
研究チームは、変形性膝関節症の中で最も一般的な「内側型」の患者68人を対象に実験を行った。このタイプは膝の内側に症状が出るもので、進行すると手術に至るケースも少なくない。
被験者一人ひとりに動作解析を実施し、足の角度を5度または10度変えることで、膝への負担が軽減できるかを評価した。
調整によって膝への負担が軽減された被験者は、最適な足の角度を与えられる「治療群」と、自然な歩き方を維持するよう指示された「対照群」(実験のことは知らされていない)のいずれかにランダムで割り当てられた。
治療群は、すねに微細な振動を与えるバイオフィードバック装置を用いて、足の置き方を誘導する「歩行再訓練」を6回受けた。その後、参加者は1年間、修正された歩き方を継続的に練習した。
結果は明らかだった。治療群では、一般的な鎮痛薬と同程度の痛みの軽減が見られ、MRI検査では軟骨の劣化が遅れていることも確認された。
「鎮痛薬に長期的に頼るのは、良い解決策とは言えない」と、ウルリッチは指摘する。
「特に深刻なのは、前十字靭帯損傷などのケガを負った人たちだ。彼らは30〜40代で変形性膝関節症を発症するリスクが高い。しかも、その年齢では人工膝関節置換術の適応にならないケースが多く、数十年は手術を受けられない」
「彼らは治療の選択肢が限られている。外科手術でも薬物治療でもない歩行再訓練のような介入は、こうした『治療の空白地帯』を埋める手段になり得る」
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